Energy
2014.09.17 瀬戸 義章
エネルギー問題を私たちに突きつけた東日本大震災を一つの契機として、いま、政府は家庭の「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」化を進めています。これは、省エネと自然エネルギーの利用を合わせることで、差し引きのエネルギー消費をゼロにするという仕組みです。
例えば、太陽光発電と電気自動車を連動させ、普段は電気自動車のバッテリーに充電し、電気が不足した場合にはバッテリーから補うというシステムが、既に実用化されています。ところが、電気自動車の普及の遅れや、バッテリーのコスト高もあり、なかなか家庭に普及していません。
こうした状況で、非常に興味深い活動をしているのが、 NPO法人「非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」です。彼らは「リユースバッテリー」を使って、発展途上国の電化や、日本での独立電源(電力会社に頼らず、電気を自給自足すること)を推進しているのです。
同会代表の鈴木一郎さんは、鉛蓄電池の研究40年という「バッテリー博士」岡田勝男さんから、廃棄バッテリーを再生する技術を学びました。上手に再生すれば、ローコストで再びバッテリーを使うことができるようになるそうです。
この技術を活かして、昨年から鈴木さんたちは、ケニアでリユースバッテリーによる電化事業を進めるべく、調査を始めました。バッテリーを非電化地域に宅配することで、照明や携帯電話の充電といった電気の利用を可能にします。ケニアには約3000万人が、アフリカ全土では約6億人が、電気の使えない非電化地域に住んでいます。
リユースバッテリーが必要な地域は、途上国だけではありません。東日本大震災から3年半が経ち、被災地に贈られたソーラー街灯などのバッテリーが劣化してきているそうです。それを知った鈴木さんたちは、クラウドファンディングサービスを使って、被災地にリユースバッテリーを届けるプロジェクト「廃棄バッテリーを再生して宮城・東松島の被災地に届けたい!」をスタートさせました。
日本では多くのバッテリーが廃棄処分されています、と鈴木さんは語ります。「しかしそれは、まだまだ利用が可能なんです。リユースバッテリーの活用が拡がれば、世界中のエネルギー問題の解決に繋がると思います。ぜひ、あなたも、あなたの会社・団体もバッテリーの寄付で非電化地域や独立電源を支援してください」
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