Energy
2015.03.22 平澤 直子
Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by David Clarke
3月18日、ノルウェーの船級協会であり、オイル、ガス、電力のコンサルティングも行う第三者認証機関でもあるDNV GLが、「統合を超えて:再生可能エネルギーと電力網を再形成する3つのダイナミックス」と題する報告書を公開しました。同社の発表によると、調査に回答したエネルギー専門家の82%が、2050年までに電力の70%を再生エネルギーにすることが可能だとし、うち半数の専門家は、それが15年以内に実現可能だとしています。
「再生可能エネルギーはよく既存の電力体制に統合されるものとしてとらえられるが、もっとスマートなアプローチが必要だ」と考える同社は、今回、70国以上の1600人を超えるエネルギーセクターの専門家に調査を実施。主な質問は、「再生可能エネルギーが70%の電力を生みだすシナリオは?」「それはどの程度実現可能か?」「実現にはどのくらいの時間が必要か?」「そのシナリオで恩恵を受けるのは誰で、窮地に立たされるのは誰か?」などで、世界が再生可能エネルギーにシフトしていくための具体的なアプローチ方法やロードマップを尋ねる項目が並びました。
調査の分析結果は大きく3つのポイントに分けて発表されました。1つ目は、政策立案者とシステム管理担当者間の要求のズレを「合致」させる新たな経済指標が必要であること。2つ目は、再生可能エネルギーへの移行により事業開発担当者とシステム管理担当者にもたらされるチャンスと課題を「調整」する新しい規定が必要であること。3つ目は、今までにないベンチャー的なソリューションにより電力ビジネスはエネルギーのインターネットとでもいうべきものに「拡大」されるであろうことです。
DNV GL-EnergyのCEO、デビッド・ウォーカー氏は言います。「この分析結果は、新しい技術を統合する際の産業界のアプローチ方法に、劇的な変化を要求している。私たちはもっと協力し合い、古い指標、古い規定、古い自己中心的なやり方を超えていかなくてはならない。再生可能エネルギーが邪魔者扱いされ、順応させられるべきものとされるパラダイムから、再生可能エネルギーの本当のポテンシャルが活かされるパラダイムへのシフトが必要だ。議論は『統合を超えて』いく必要がある。DNV GLはより広い視野を持ってディスカッションを始める」
既存の電力システムに再生可能エネルギーを統合するのではなく、まったく新しいシステムが導く電力・エネルギーの未来。あと数十年でそんな未来が見られると思うと、期待で胸が高鳴ります。
3月24日には、オンラインセミナーが開かれます。同報告書の主筆であるフリス・ジョーンズ氏、エネルギー貯蔵の第一人者アリ・ノーライ博士と、次世代電力網の専門家ピーター・ファッセン氏が電力の未来にとって、この調査結果が何を意味するのかを探ります。詳細はこちらから。
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