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エネルギーの「地産地消」を実現したサムソ島が絵本に

2012.04.03 ささ とも

画像提供:福音館書店 

デンマークにある人口約4000人、面積は沖縄本島の約10分の1の小さな島に、世界の関心が集まっています。島民が利用する電力と暖房などの熱供給を、自然エネルギーで賄うことに成功したサムソ島です。

そのサムソ島の成功に注目した米国の絵本作家アラン・ドラモンド氏が描いた絵本『Energy Island』の邦訳版『風の島へようこそ くりかえしつかえるエネルギー』(福音館書店)が出版されました。出版に合わせ、3月10日には東京・銀座で、絵本の主人公のソーレン・ハーマンセン氏と翻訳者の松村由利子氏のトークイベントが行われました。

物語の内容を少し紹介しましょう―デンマーク政府が打ち出した自然エネルギー計画のリーダーとなった地元教師のハーマンセン氏は、「自分たちのまわりにあるいろいろなエネルギーをうまく使いこなせるか、いっしょに考えていきたい」とサムソ島のさまざまな人々に呼びかけ、徐々に関心を集めるようになります。そして、島民自らが出資し、自然エネルギーの設備を建て、生み出されたエネルギーを有効に利用するという方法にたどり着きました。

風が強いサムソ島の特性を活かして、まず風車を建てました。次に牧場に太陽光パネルを敷き、暖房用の燃料は石油に代えて島に豊富にある麦わらを燃やし、ナタネ油をトラクターの燃料にし、風車によってつくられた電気で動く電気自動車に乗るなど、みんなの生活がどんどん変わっていきました。今では余剰電力をデンマーク本土に売るまでになっています。

トークイベントでハーマンセン氏は、「島外の発電所から送られた電気を利用していたときには島民はエネルギーのことは考えることもなかった。自分たちが風車や太陽光パネルを建てたことでエネルギーの大切さを考えるようになった」と話しています。

この絵本を子どもに読み聞かせをしていて、ふとこれは私たちの物語にしないといけないなと思いました。自然エネルギーの地産地消の動きは日本でもすでに始まっていて、北海道・東北地方の市民風車や長野県飯田市の太陽光発電所、岡山県備前市の木質バイオマスなど、市民出資によるさまざまな自然エネルギー事業が全国各地で展開されています。こうした動きがどんどん広まって、子どもたちが大きくなるころには、日本もサムソ島のように安心して使える自然エネルギーで暮らせるようになったらと思うとワクワクしてきます。



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サムソ島、デンマーク (ヨーロッパ/ロシア

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