Energy
2010.04.22 宮原 桃子
ドイツは、発電量の約1割を再生可能エネルギーでまかなう、世界有数の再生可能エネルギー先進国です。2002年に脱・原子力発電の方針を決め、原子力発電所の新規建設を禁止し、2020年までに現存する17基の操業も停止する計画でした。
しかし、現在も発電量の約2割は原発に頼っており、2009年9月の総選挙で勝利したメルケル首相率いる与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は、CO2削減と電力の安定供給を両立する観点から、原発の稼働延長の方針を明らかにしています。
国内で激論が続いていますが、09年4月の環境省による世論調査では国民の66%が原発に反対しており、今回の政府方針にも反対の声が高まっています。政府は5月より、延長期間などの具体案を固めていくということです。
これに対し原発に反対する市民は、チェルノブイリ原発事故が起きた4月26日に合わせて同24日にハンブルク近辺の3つの原子力発電所の間を、約120キロの「人間の盾」で結ぶ予定です。すでに4月10日にベルリンで行われたデモには2000人以上が参加し、国内50都市で同様のデモが始まっているそうです。
スウェーデンやイタリアなどでも温暖化対策の観点から原発再評価の動きが出ていますが、鍵となるのは原発に替わる再生可能エネルギー。まだ原発なしで再生可能エネルギーが電力需要をまかなうのは困難ですが、すでに2基の原発を閉鎖しているドイツには、原発に頼らない新しいエネルギー社会を世界に示してもらいたいところです。ドイツ政府と国民の決断に注目しましょう。
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