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Energy

食料残さを利用して、高効率でクリーンなバイオ燃料を

2010.03.17 奥山 賢治

植物など生物由来の燃料であるバイオマス。地球温暖化対策、エネルギーの自給、地球資源の有効利用という面から注目される一方、エネルギー効率やコスト面での課題が指摘されていました。

そこで近年注目されているのが、エネルギー供給システム「農林バイオマス3号」(九州沖縄農業研究センターと長崎総合科学大学が共同開発)。最大の特長は高カロリーでクリーンなガス燃料に変換でき、小規模でも高いエネルギーを生み出すところ。一般的にバイオマスを燃焼させてエネルギーを得るのに対し、「農林バイオマス3号」は水蒸気を用いるため、タールをほとんど出さず、水素を多く含んだクリーンなガスとメタノールを生成する、優れものです。

ガス燃料は発電や熱供給に利用でき、メタノールはガソリン代わりにもなります。また、通常のエネルギー供給システムの場合、熱効率は20-30%にとどまりますが、冷却廃熱や排気熱をエネルギーとして回収利用する「農林バイオマス3号」は70%程度と高効率。1トンのバイオマスで1000キロワット/日(家庭約100世帯分の電力)の供給ができます。

開発された長崎では既に実証実験が進んでいますが、2011年には利根川流域地域協議会が群馬県太田市で実証実験を行うことがこのほど明らかになりました。利根川流域の草木類や同市周辺の食品工場から出る食品残さなどをガス化しガス燃料とメタノールを得る取り組みです。用地は工業団地内を予定しており、年内にも着工する計画です。

今後、世界最高クラスの電力変換効率を誇る「農林バイオマス3号」が順調に普及すれば、各地域で循環型のクリーンなエネルギーが供給され続けていくかもしれませんね。



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