Energy
2010.03.31 奥山 賢治
国内で排出される廃食油は年間約40万トン。飲食店や食品メーカーから排出される約20万トンは飼料や石けんなどとして、リサイクルされている一方で、一般家庭の使用済み食用油はそのまま生活排水として河川に流されるばかり。そんななか、株式会社ユーズ(東京都墨田区)は一般家庭から排出される廃食油を車の燃料にする事業に取り組んでいます。
ユーズ代表の染谷ゆみさんは家業の「染谷商店」を経て同社を創業。家業で長年培った廃油処理業の経験を基に開発したVDF(Vegetable Diesel Fuel)が染谷さんを環境ビジネスへと駆り立てたのです。VDFの馬力は軽油と同等。大気汚染の原因となる硫黄酸化物は一切排出しない上、呼吸器官障害の原因といわれる黒煙は軽油の半分以下。100リットルの廃食油から95リットルものVDFができ、車の改造は一切不要と、いたれりつくせりなのです。
2017年までに都の廃食油をすべてエコ資源化することを目指す「TOKYO油田2017」は、ユーズが展開するプロジェクト。4月17・18日に代々木公園で開かれる「アースデイ東京2010」にも実行委員として参加。「天ぷら油リサイクル大作戦」として、同イベントのエネルギー自給を実現するため、当日までに1000リットルの使用済み天ぷら油を各地で回収中です。
昨年11月にはこれまでの取り組みや同社の変遷、展望などをまとめた染谷さんの著書が出版されるなど、目覚ましい活躍ぶりに期待大。
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