Food
2013.09.19 大野 多恵子
「ごちそうとぼうさい」のロゴ入り、3年間常温保存可能なパンの缶詰がこの日のお土産
もしもの災害に備えて、家庭で非常食を備えていますか? 水、カンパン、缶詰などが、ひょっとしてリュックの中や押し入れの奥で忘れられているのでは? 普段はなかなか想像しにくい「もしも」のことを、もっと日常的に考えていこうというイベント「ごちそうとぼうさい」が9月11日、「フードロス・チャレンジ・プロジェクト」と「つながってmealー食農プロジェクト」の主催で行われました。
会場となった港区のカフェに大勢の人が集まり、企画者である博報堂アートディレクターの吉田裕美さんが、「今日は、買い置きした非常食を食べずに済んでよかったねと、それをおいしいごちそうに変えて、安心を確かめ合う日です」とあいさつし、まずは乾杯。プロの料理人によって、非常食がごちそうディナーに変身し、大皿からみんなで取り分けると、あちこちで「おいしい!」の声が。メニューはレトルトパックの総菜にお麩を使ったサラダや、高野豆腐と組み合わせた一品、缶詰のデニッシュパンを利用したカナッペ、水を注ぐだけで食べられるアルファ米を利用したリゾット、長期保存可能なクッキーを使ったティラミスなど。
これらは普段でも手軽に買い置きして食べられるものばかり。そこで、吉田さんはこれを「非常食」とは言わず「防災食」とし、備蓄を回転し定期的に食べていこうという「ローリングストック法」を提案しています。「ローリングストック法」とは、4日分の朝、昼、夜の防災食12食分をストックし、月に1度1食分を食べ、その分1食分を補充します。ちょうど1年で最初に用意した12食分が消費され、買い足した12食分と入れ替わるというわけです。このように1年周期なら、普段食べ慣れている乾物やレトルト食品などを利用することができます。
会場では、東日本大震災への支援として、毎月11日に東北を思う活動をしている「チームともす東北」のキャンドルが灯され、2人のミュージシャンによる東北への思いを込めた歌も披露されました。そして、お土産として配られた防災食が入ったバッグは、被災地である宮城県の「南三陸ミシン工房」で作られたものでした。
途中、東北の人々から「震災直後にはどのようなものを食べていたか」のメッセージビデオも流されるなど、幾重にも工夫が凝らされた演出で、たくさんの人がつながった初開催のイベント。防災は、食料の備蓄だけではなく、人と人とのつながりが実はとても大切だということを教えてくれたようです。吉田さんは「みんなで安心を確かめる日として、『ごちそうとぼうさい』を今後毎年開催していきたい」と話しています。
関連するURL/媒体
https://www.facebook.com/events/217986118358345/