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2014.01.28 平澤 直子
photo by Naoko Hirasawa
1月26日の朝、都内のフェアトレードショップPeople Tree自由が丘店の前には、若い女性の行列ができていました。映画「バレンタイン一揆」上映会&トークに参加するためです。
映画「バレンタイン一揆」は、以前地球ニュースでも取り上げた、世界の子どもを児童労から守るNGO ACE(Action against Child Exploitation)の設立15周年記念に作られたドキュメンタリーで、同団体を通じてガーナの児童労働を知った女の子たちが実際にガーナを訪れ、帰国後日本でアクションを起こす物語です(制作:2012年)。
ACEによれば、児童労働とは「義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働」をさします。2012年時点で世界で児童労働をしている子どもは1億6800万人にも上り、ガーナでも、多くの子どもたちが学校に行くこともなく、チョコレートの原料であるカカオの農園で働いています。
灼熱の農園でカカオの実を収穫するのも、カカオでいっぱいの、20キロもあるかごを頭に載せて運ぶのも、10歳前後の小さな子どもたちです。映画の中で、日本から訪れた女の子たち(20歳前後)も実際にやってみようとしますが、頭の上にかごを載せることすらできませんでした。しかも、1日働いても賃金は3セディ(約140円)だったと、実際に児童労働をしていた少年は言います。
しかしそんな厳しい労働環境にも関わらず、映画の中で見る子どもたちは明るく、とても辛い思いをしてきたようには見えません。前述の少年も「村にいたら子どもが働くのが当たり前だったから、児童労働が何かも知らなかった」と言います。「子どもたちが明るく働いているのなら、それでも良いのでは?」という声も聞こえてきそうですが、ガーナのカカオ産業を含む商業的農業は国際労働機関(ILO)が1999年に定めた「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約」中の「最悪の形態の児童労働」に含まれていますし、働いていて学校に行けないということは、読み書きも計算もできないわけですから、不利な契約書を突き付けられても賃金をごまかされてもそのことに気づくことすらできないということです。やはり、子どもに教育は必要です。
さて、ガーナで児童労働の現状を知った女の子たちは、日本に帰国後、映画のタイトルにもなった「チョコレート一揆」を起こしました。「みんなで同じ時間に同じ場所にフェアトレードチョコレートを買いに行こう!」というアクションです。2012年当時は場所も銀座に限定されていましたが、今年は個人および集団でのフェアトレードチョコレート購買活動のほか、47都道府県大使を決めたり、各地で映画の自主上映会を実施したりと活動が進化しています。
日本に輸入されるカカオ豆の約8割がガーナ産。日本でおいしいチョコレートを味わう私たちにとっても児童労働は他人事ではありません。今年のバレンタインには是非、児童労働を助長しない、フェアトレードのチョコレートを。
関連するURL/媒体
http://acejapan.org/campaign/15th/