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ビオよりも「地域性」を重視 変わるドイツの消費者マインド

2014.05.23 河内 秀子

会場の旧テンペルホーフ空港跡地  Photo by Hideko Kawachi

ドイツでは、BIO(オーガニック)はいまやスタンダード。しかしそのため、価格競争や食材の産業化が進み、安価な大量生産、輸入ものが主流となり、作り手の顔はどんどん見えなくなっています。そうした傾向に歯止めをかけようと、昨年立ち上げられた見本市「ネクスト・オーガニック・ベルリン」。今年5月18日に2回目が開催され、190のスタンドには、ホテルやレストラン、カフェといった飲食業や、スーパーマーケットといった販売業にかかわる人など2500人の関係者が訪れました。

この見本市への出店基準はまず、遺伝子組み換え作物や化学合成添加物を用いていないこと。伝統的かつハンドクラフト的な製造法によること、味や見た目の質の高さ、そして最後に地域の環境への高い配慮。出店者に対し「オーガニック認証」は義務づけられていません。実は近年、EUのオーガニック認証に対してドイツの消費者は懐疑的。食糧・農業大臣のクリスティアン・シュミット氏も基準を見直すよう提案しているほどで、ビオであるかどうかより、身近な小さな作り手をサポートしようという意識の高まりが反映されています。米の経営コンサルティング会社、A.T.カーニーが昨年ドイツ、オーストリア、スイスの1000人を対象に調査したデータによれば、調査対象者の半数以上が「地域性」を考慮して食品を買っているのに対し、「ビオ」を重視する人は10%前後であったそう。

この見本市では、小さな作り手にはなかなか難しい、売り手と直接つながることができる貴重な機会を提供。特に、来場者のメインはコックなど飲食業界の人たちということで、会場中央に設置された舞台で、出店されている食品を生かしてスターコックが腕をふるい様々なアイデアを提供します。特に、ここ数年トレンドとなっている多彩なクラフトビールに合わせた料理を提案するイベントは注目を集めていました。

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創業1628年の老舗ビール醸造所「ラムズブロイ」は、1995年からビオ・ビールのみにシフト。味にも定評があり広く展開しているが、クラフトビールブームに乗ってグルメビールシリーズ「1628」をスタート。4シーズン目となる今年は「ババリアン・ブラウン・エール」を発表、店を限定して販売していく


また2年以内に起業した若手を募集し、55社の中から選出された3社に無料でブースを提供するなどスタートアップの応援にも力を入れます。受賞した一社、「SpeiseGut」は、ベルリン郊外に3ヘクタールのオーガニック農地を持つ農家。参加者は1週間に55ユーロ(約7600円)を払うことで、この農家の共同体となり、この農地で作られた野菜などの作物や、絞り立てのサンフラワーオイルやりんごジュース、蜂蜜といった商品を宅配してもらうことができるという仕組み。作り手が消費者と、まさに直接つながる製造、販売形態の新しい在り方として評価されました。

来年も、ほぼ同時期に開催を予定しているこの見本市。「これからのオーガニック」を見つけに、足を運んでみては?

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「クリナリー・キヨスク」と名付けられたコーナーでは、これから注目されそうな商品をピックアップ。ベルリンで活躍するコックたちの料理本も紹介


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河内 秀子