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2014.11.14 平澤 直子
写真提供:mizuiro㈱
ほうれんそうの傷ついた葉、キャベツの一番外側の葉、出荷時にカットされるネギの葉、栗ペーストを作るときに出る栗の皮、とろろを作るときに出る長芋の皮、ジュースをしぼったあとの山ぶどうのかす(※1)。本来ならそのまま捨てられるはずの野菜くずを有効利用した「おやさいクレヨン vegetabô(ベジタボー)」のseason 3が、11月28日に発売されます。
このクレヨンは、野菜や果実の廃棄部分を粉末にし(※2)、食品の着色料にも使われる顔料とともにライスワックスと混ぜることで作られています。このライスワックスも、精米時に排出され大部分が廃棄されてしまう米ぬかからとれるもので、このクレヨンは、環境にも人にも優しく作られています。
開発したのは、mizuiro株式会社(青森県青森市)代表取締役でデザイナーの木村尚子氏。当時8歳の自身の子どものために安心で安全な文房具を作りたいと考えてのことでした。まずは自分でクレヨンの作り方を調べ、野菜を用いたクレヨンを実際に作ってみたところ、予想以上に出来が良く、製品化を決意。名古屋のクレヨン職人のいる工場と、同じ青森市の農事組合法人あづまの協力のもと、2013年12月に最初のパッケージ「おやさいクレヨン vegetabô season 1」を完成させました。翌年2月に東京ビッグサイトで開催された東京インターナショナルギフトショーに出展したところ、大変好評で2週間で予約完売となったといいます。
また特徴的なのが、色の種類と名前です。既存のクレヨンのように、赤、青、黄色、と色を作っていくのではなく、トウモロコシからは「トウモロコシ色」、かぼちゃからは「かぼちゃ色」と、野菜が自然に放つ色彩を尊重し、それをそのまま閉じ込めることでクレヨンを作っています。そのため、既存のクレヨンにはある色が欠けている場合もあります。その一つが青。「自然界の野菜には青い野菜がほとんど存在しないため、私たちは、あえて野菜の世界観のコンセプトのもと、青色はセットしておりません」と同社は説明しています。
毎回新色が足されるこのクレヨン、5月に発売したseason 2には、特産品であるリンゴを使用した「リンゴ色」をはじめ全色に、青森県産の野菜・果実を配合し、青森県の活性化にも一役買っています。Season 3では新たに、「ムラサキイモ色」、「ごぼう色」、「あずき色」を投入。パッケージもリニューアルし、よりかわいらしい「クレヨンタウン」の世界観があらわれたものとなっています。
また、野菜の粉末をそのまま使用しているため、「とうがらし色」は辛いなど、クレヨンとしては予想外の特徴もあり、このクレヨンを使用したワークショップに参加した人からは、「野菜や果物の香りがする」との声もあがったそうです。同社では今後、季節に合わせた旬の野菜や果物の新色や、全国47都道府県の野菜を使ったクレヨンも作りたいとのことで、今後の展開が楽しみです。
※1 ここにあげたすべての野菜・果実がseason 3に含まれているわけではありません。Season 3に含まれる色についてはホームページでご確認ください。
※2 使用されるすべての野菜が廃棄品というわけではありません。
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