Food
2015.03.05 平澤 直子
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buycottやSoooooS.など、買い物で社会貢献ができるショッピングサイトは今までにも存在しましたが、社会貢献に加え、消費者は安く買い物ができ、食品ロスの問題まで解決できるという一石三鳥のサイトKURADASHI.jpが2月27日にオープンしました。
同サイトは、賞味期限が近い食品、テレビショッピングで販売を終了した美容器具など、一般の流通から外れた商品を企業から提供してもらい、最大90%という割引率で販売、売り上げの3%から10%が災害支援や途上国支援などの団体に寄付される仕組みです。
サイトを運営するグラウクス(東京・渋谷区)の代表取締役・関藤竜也氏は、総合商社での仕事や食品メーカーのコンサルティング業に従事する中で、多くの企業が賞味期限内の食品を廃棄するのを見てきており、この問題を解決すべく同サイトを開設したといいます。
事実、日本の食品業界には「3分の1ルール」という商慣習があり、それにより食品ロスが大量になっている現状があります。たとえば賞味期限が6カ月の製品だったら、スーパーなどの小売店に納品されるのは製造日から2カ月までの品、販売されるのは製造日から4カ月までの品、という暗黙のルールがあり、これらをすぎた商品は一部「わけあり品」として割引価格で販売されるほかは廃棄(※1)されているというものです。
※1 割引きでの販売は商品の値崩れを招くため、企業は実施したがらず、ほとんどが廃棄されている。日本の食品ロス(食品廃棄物のうち、返品、売れ残り、食べ残しなど、可食部分と考えられる量)は年間500万から800万トン。
企業は、コストの問題もあり、余剰在庫や食品の廃棄は極力避けたいという思いがある一方、昨今多発している異物混入問題もあり、食品の保管・管理には非常に慎重になっているようです。そこで、KURADASHI.jpに商品を提供することが、余剰在庫保管コスト、食品廃棄コストの削減につながるだけではなく、社会貢献にもなるという斬新な切り口は、企業の商品提供のハードルを下げる要因になるのではないかと期待できます。
すでに一部化粧品店、生協などでは、自社サイト内で使用期限・賞味期限の近い商品を割引して販売していますが、その売れ行きを見る限り、消費者にとっては賞味期限よりも価格のほうが大きな購買要因になることが実感できます。現在、農林水産省や消費者庁をはじめとした関係省庁は、食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS プロジェクト)を推進しています。KURADASHI.jpを通じて消費者が賞味期限をさほど気にしないことがわかれば、上記の3分の1ルールが崩れる日もそう遠くないのかもしれません(※2)
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※2 2013年8月より、納品期限は製造日より3カ月まで、販売期限は設定しないというパイロットプロジェクト(メーカー、卸売、スーパーなど35社が参加)が行われ、約4万トンの食品ロスが削減されたという結果が出ている。
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