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サメ肉はおいしい! 気仙沼がサメ漁の持続可能性をアピール

2015.03.11 岩井 光子

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3月3日にオープンした「わたす」。東北の海の幸や山の幸をふんだんに使ったランチを出すカフェもある


東京・日本橋にオープンしたばかりの東北復興支援ビル「わたす 日本橋」で7日、宮城県気仙沼市の特産であるヨシキリザメのマーケット活性化を目指す「サメの街気仙沼構想推進協議会」の座談会が開かれました。

サメはフカヒレ以外に、切り身を調理して食べる魚としてのイメージが私たちには薄いかもしれません。日本橋には1688年創業の魚肉加工品の老舗「神茂」がありますが、名物であるはんぺんの原料には伝統的にアオザメやヨシキリザメが使われていて、気仙沼とは深いかかわりがあります。はんぺんやかまぼこを通じ、私たちもサメ肉を口にする機会は、意外に多いのです。

座談会に出席した元「日経ヘルス」「日経プルミエ」編集長の西沢邦浩さんは、コラーゲン豊富なサメ肉は、「健康市場の主役である50代以上の女性たちが欲する"美容と健康を同時に守る"という要素を満たしている」と指摘。今後サメ肉がブームになる可能性もあり得るとコメントしていました。

会の中盤では、ヨシキリザメの"トロ肉"を使った唐揚げの試食も。トロ肉とは尾びれ付け根の上部。ちょうどフカヒレの真上に当たり、鮮度が高くないと食べることができないそうです。コラーゲンたっぷりの皮と、コンドロイチン硫酸が含まれた軟骨、そして低脂肪高たんぱくの肉と、サメの特筆すべき栄養素が3拍子そろっているのは、この部位のみ。参加者は初めて食べるトロ肉の食べやすさと歯ごたえの良さに「おいしい」と好反応。「ぜひ気仙沼の名物にしてほしい」といった声も上がりました。

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ヨシキリザメのトロ肉を使った唐揚げ


日本のサメ漁獲高のおよそ8割以上を誇る気仙沼のサメは震災以降、窮地に立たされています。ひとつは震災でのダメージに加え、魚の価格下落が続いていること。そして、もうひとつは環境保護団体が主張する「フィニング行為」の流布で、外資系高級ホテルが次々にフカヒレの取り扱いを止めてしまい、消費量が激減してしまったこと。協議会は「フカヒレだけ獲って、あとの魚体は海に捨ててしまうといったフィニング行為は、気仙沼では一切やっていない」と強く主張します。

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ヨシキリザメについて参加者に説明する高橋さん


私たちはサメとひとくくりにして考えがちですが、「サメの種類はざっと500種」とも言われるそうです。協議会の正会員である中華・高橋代表取締役社長の髙橋滉さんは、「生息域や種類、性質をきちんと区別して、保護する必要のある種と資源として活用できる種を考える必要がある」と言います。「気仙沼がヨシキリザメと特定して言っているのはそのためです。底引き網などで小さなサメもひっくるめて獲ってしまい、数が減っているのは主に沿岸性のサメ。ヨシキリザメは外洋性のサメです。一度に40〜50匹の赤ちゃんを生む多産型で、敵もいないので、資源は安定しています」と説明します。気仙沼近海はえ縄漁業は現在、伝統的なはえ縄漁によるサメ漁で、持続可能な漁業に認められるMSC認証取得を目指しているそうです。

協議会は今後、九州の食EXPOでサメ料理を提供するなど、継続的なPR活動に力を入れていくとのこと。ヨシキリザメの資源管理をきちんと意識していること、いかにして気仙沼のサメ料理に好奇心を持ってもらうかなど、発信すべきことは山積みですが、コラーゲンやコンドロイチン硫酸を豊富に含むサメ肉のニーズは、超高齢社会となった日本できっと高まってくると信じ、前に進もうとしています。



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岩井 光子