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その食べ物捨てないで! 食品ロスを楽しく減らすイベントが増殖中

2015.09.24 河内 秀子

ごつごつのジャガイモや曲がったパースニップ(セリ科の西洋根菜)も、小さく切ってマッシュにしたら味は全然変わらない! 虫食いリンゴは虫を取り除いてアップルムース、熟しすぎたメロンはスムージーに! photo by Hideko Kawachi

1800万トン以上。これはドイツ国内の1年間の食品廃棄物の量(WWF=世界自然保護基金調べ)。ドイツの食品消費量は年間5450万トンなので、なんと3分の1近くがゴミになってしまっているという計算です。

すでに2012年にドイツ政府は食品廃棄物の量を2020年までに半減させると公言していますが、今年売れ残りの食品の廃棄を禁止する法律を打ち出したフランスに比べ、ドイツではまだ具体的な対抗策は立てられていないのが現状です。

その膨大な量の食品廃棄物の中には、収穫の段階で規格外としてハネられた野菜や果物もあれば、パン屋で売れ残ってしまった昨日のパン、ラベル表記を間違えてしまったスーパーの食材、買ったけれど、使わないうちに少し賞味期限が過ぎてしまった冷蔵庫の中の残りものなど......実は、まだまだ食べられるものが多いのです。本当にその食べ物は「ゴミ箱行き」? もったいない! まだまだ美味しく料理できるはず、とフード救済プロジェクトが、ドイツ国内で続々と生まれています。

その1つ、「Teller statt Tonne ゴミ箱の代わりにお皿へ」に参加してみました。これは子どもたちを対象にしたプロジェクトで規格外の野菜やスーパーマーケットから廃棄された食物を使って皆で一緒に楽しく、美味しいご飯を作ろうというものです。「実際に畑に行って収穫をすることで、通常どれだけ多くの野菜や果物が"規格外"として捨てられてしまうのか、またその"規格外"の多くが味には全く遜色がないことが実感できると思います」とオーガナイザーの1人、Slow Food Youthドイツのルイーゼ・ドゥハンさん。「規格外の食材を手に取るということは、そもそも自炊しなければならないということでもあります。インスタントがあふれる昨今ですが、皆でわいわい料理して、料理を身近に思ってもらえたら」

同団体が2012年から毎年1月にベルリンで開催している「Schnippel Disco 切れ端ディスコ」には1000人以上の若者が集まり、ダンス音楽をBGMに大量の食品廃棄物と規格外野菜や果物を使っての大料理大会となっています。この運動は、フランスにも広まり「Disco Soupe」という名前で盛り上がっているそう。日本でも昨年、東京の高円寺で初めて同様のイベントが開かれました。

そして今回の「Teller statt Tonne」には、食品廃棄物を美味しく頂くレストラン「RESTLOS GLÜCKLICH」(現在クラウドファンディングで開業資金を調達中)のメンバーも登場。長持ちする食品保存法や、食べ物の賞味期限の見分け方を子どもたちに伝授しました。

冷蔵庫のどこに何を保存すると一番効果的に保存できるかを考えてみようという遊び

会場のアーバンガーデンで摘んだワイルドハーブのサラダに、マッシュポテトやアップルムース。落ちたリンゴを集めてしぼったジュースなど豪華な食卓! このテーブルや椅子、ランプも廃品をリサイクルしたもの

このレストランでは、規格外野菜や前日のパンなどだけでなく、テイスティング・パーティーの残りのワインや、ティラミスメーカーから廃棄される卵白や、豆腐工房から出るオカラ(!)なんて、ちょっと変わった"ゴミ"も登場する予定。美味しく蘇らせて、皆の意識を変えたい!と意気込んでいます。

一人ひとりが意識して毎日の食品ゴミを減らすようにしていけば、必ず量は減っていくはず。冷蔵庫に古くなっている食べ物はないですか? 捨てる前に一工夫、料理のレパートリーも広がる......かも!?



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河内 秀子