Food
2016.12.13 河内 秀子
加盟店は世界500店舗以上! ベルリンではパン屋が多く、レストランもインド料理からお寿司屋まで多彩な顔ぶれ
ドイツだけでなくヨーロッパ全体で、大きな問題となっている食品廃棄物。最も食品廃棄量が多いのは一般家庭から出るもの。国民一人ひとりの意識を変えていかなければ、この問題の根本的な解決にはならないと、ドイツでも様々な試みが行われています。
以前、主に子どもたちを対象にしたフードレスキュープロジェクトをご紹介しましたが、最近、口コミでじわじわと広まって来ているのが「Too Good To Go」というアプリです。レストランやパン屋さんなどで、ランチの後や閉店間際、まだまだ美味しく食べられるのに捨てざるをえない...。そんなご飯をアプリで予約し、2ユーロ(約244円)からリーズナブルに引き取ることができるという、消費者と店をつなぐシステムです。
このアプリのアイデアが始まったのは2015年11月、デンマークでのこと。ビュッフェ形式のレストランに足を運んだスチャン・オレセンとトーマス=ビョルン・モムゼンの2人が、まだ食べられる食材をなんとかして活かせないかと考案。今年4月に、ドイツでも50件ほどの店をパートナーにスタートしました。
いまやドイツ、スイス、イギリスやフランス、ノルウェーにも広まり、加盟店は500店舗を超えるそう。ベルリンでは市内各地の約30件が協力しています。サイトをチェックすると、気になっていたレストランなども参加していることがわかり、さっそく試してみることにしてみました!
システムはいたって簡単。メールアドレスを登録してアカウントを作ると、位置情報から最寄りの店がリストアップされます。ドイツでは週末ブランチビュッフェをやっているお店が多いので、参加店がぐっと増える週末がおすすめ。
今回私が行ったのも、週末のビュッフェを提供しているという、ヴィーガンのレストラン「Kopps」。9時30分から16時までのブランチビュッフェ終了後の15分間が、食品の引き取り時間です。
週末のブランチビュッフェは、前菜からデザートまで種類も豊富。ずらりと並べないといけないので、食品ロスも出やすいのだ
時間は短いけど、ブランチビュッフェは通常13.50ユーロ(約1850円)で、このアプリでは4ユーロ(約500円!)とお値段も控えめ。わたしのほかにも20代のドイツ人の女の子が来ていました。「友だちからこのアプリを勧められて、近所に美味しそうな店があったから試しに来たの」と彼女。「友だち数人でやったら、後でわいわい食べられるし、ちょっとしたパーティー気分で楽しそう! 次から友達と一緒にやるわ」。様々なヴィーガン料理が器にきれいに盛られていて、残り物、という感覚はほとんどありません。
店員さんがテイクアウト用の箱を用意してくれていたのですが、私はあえて重箱持参。せっかくのゴミを減らすプロジェクトなのに、テイクアウト用の包装ゴミが出たらもったいないと思ったからです(サイズも大きいし、ちょっと失礼かな? とも思ったのですが、店の人は、重箱&風呂敷に興味津々。ほっ)。
「残り物」は重箱に詰めると幕の内弁当みたいな楽しさが
購入も簡単で、ペイパルかカード決済で、店には予約チケットを見せるだけ。これがただ捨てられてしまうのか...とちょっとショックを受けつつも、この日の夕食に、美味しくいただきました。
現在の位置情報から、近隣の加盟店をラインナップしてくれる。購入すると電子レシートが届き、店の人にスワイプしてもらうだけ
次はどこのお店を試してみようかな? 食品ロス削減への小さな一歩となるだけでなく、知らなかったお店を試すきっかけにもなりそうな、楽しいアプリ。世界中に広がって行くといいなあと思いました。
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