Food
2010.12.01 高橋 彩
Fresh dates - yum!:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by jemasmith
古来から「聖なる神秘の果実」と伝えられるデーツ(ナツメヤシ)。栄養価が高く、ほんのり甘くて食べやすいので、砂漠での非常食として、またティータイムのお供として、人々に愛されています。そのデーツの、普段は「いらない部分」としてぺっと吐き出されてしまう種が、なんとUAEの養鶏業にも大きく貢献できるのです。
家畜のえさや水に使用される人工の抗生物質には抗菌作用と成長促進作用がありますが、人体に与える影響が懸念されてきました。
菌が分解したデーツの種は、人工抗生物質の代替品として使用できる分解された食物繊維を含んでいます。つまり、抗生物質をデーツの種に置き換えることにより、捨てられていた種を再利用し、費用を大幅に節約しながら鶏を病原菌から守り、UAEの養鶏業をバックアップすることができるのです。
最近の研究では、通常鶏のえさとなるトウモロコシや大豆に10-20%デーツの種を混ぜると、天然の抗生物質として作用することが分かってきました。UAE大学農学部が行った実験では、デーツの種で大腸菌、カンピロバクター、赤痢菌やサルモネラ菌の値を下げることに成功しています。
現在、唯一の問題点として、鶏がデーツとトウモロコシを混ぜたえさをあまり好まないことが挙げられています。今後の課題として、うまく餌(え)付けできるよう、種とトウモロコシ、または種と大豆の割合を調整し、鶏と人間のヘルスケアに貢献できるよう、研究が進められています。
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