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2012.07.29 高橋 彩
Dates:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by jemasmith
UAEの歴史や伝統文化をデーツ(ナツメヤシ)と共に祝う、リワ・デーツ・フェスティバルが7月12-18日にアブダビで開催されました。今年8回目を迎えるこのフェスティバルでは、デーツの最優秀栽培者のタイトルを競うルターブ(熟したデーツのこと)・コンテストや著名ホテルのシェフがデーツを使ったコース料理で腕をふるう料理コンテストなどが開催されるほか、スーク(マーケット)では、さまざまなデーツを試食したり、アラブの遊牧民であるベドウィンの衣装やヤシの木やデーツの実で作った伝統的な工芸品などを見ることができ、自然と密接にかかわったアラブの伝統的な暮らしに触れることができます。
そんな中、デーツとアートを組み合わせた独自のアイデアで注目を集めたのが地元のアーティストのアッザ・アル・クバイシさん。ヤシの廃材を利用して家具や室内の装飾品を制作し、2007年からこのフェスティバルに参加しています。伝統的な方法で利用されることの多かったヤシの木を現代風にアレンジすることで、自分の作品もいつか公共の場所に利用してほしいと願うアッザさん。「UAEには石油のような自然の資源がたくさんあります。自国の資源を公共の場所で利用してみて、天候の変化にも耐えられることが分かれば、高価な木材や他の資源を国外から輸入する必要はないのです」
また、デーツの最先端の研究を進める大学や専門機関もフェスティバルに参加しています。世界のデーツの7割はアラブで栽培されていると言われますが、UAEは組織培養技術で他国をリード。慢性的な問題とされていたゾウムシ発生もほぼ抑制できるようになりました。期間中に行われる生産者対象のコンテストではデーツの大きさや品質、色、味に加え、審査員の専門家たちは農家の衛生面も重視。フェスティバルは農家がデーツの最新テクノロジーや実践例、害虫や病気についての情報に触れ、より良い品質のデーツを生産できるようサポートする機会となっているのです。
開催目的として、旅行者へのアピールのほかに、デーツ産業の育成を掲げるこのフェスティバル。専門家と農家が交流を図るプラットフォームを築くことで、その場限りではなく、将来へつなげようとする姿勢が見られます。また、夏の栄養源として欠かせないデーツを、自国の資源としても生活に直接活かしたいという人々の思いから、デーツへの愛情も感じられますね。
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