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東京都のゴミの山が、次世代につなぐ美しい「海の森」に変身

2012.10.28 大野 多恵子

東京ゲートブリッジでつながれている中央防波堤の埋立地。着々と緑が増えている

東京湾にぽっかり浮かぶ島、中央防波堤内側埋立地の真ん中に立つと、海の向こうに都心の高層ビル群、東京スカイツリー、遠くには富士山など360度の大パノラマが広がります。ここは、現在「海の森」という広大な森林公園として造成が進められ、2016年におおむね完成予定です。今回は「全国都市緑化フェアTOKYO」の一環として、特別に一般公開されました。

内側埋立地は、東京都民が1973年から1987年までに出した1,230万トンのゴミが埋め立てられた場所で、そのうち「海の森」は約88ヘクタールで、日比谷公園の5.5倍にもなります。ゴミと建設発生土を交互に埋め立てたサンドイッチ構造で、植栽基盤は、建設発生土と剪定枝から作る堆肥を混ぜたもので資源循環型の森としても注目されています。

「50年後の、あなたの子どものための、海の森」をコンセプトに、2007年から募金活動、2008年から市民参加の植樹が行われてきました。苗木づくりや植樹会には多くのボランティアが関わり、小学生の手でドングリから育てている苗木もあります。タブノキ、クロマツ、スダジイ、エノキ、オオシマザクラなど防風、防潮効果の高いものが選ばれ、長い期間をかけて自然の生育を待ちます。

「海の森」の将来的な役割として、「緑のネットワークの起点」ということも挙げられます。ここを起点に、お台場、皇居、新宿御苑、明治神宮など都内の大規模緑地を街路樹でつなげば「風の道」ができます。緑地によって冷やされた海の風がヒートアイランド現象を抑える効果をもたらすのです。

「海の森」事業委員長の安藤忠雄氏は、「かつて焼け野原になった街・東京は、先人たちの努力によって復興されました。今度は私たちの手で緑豊かな森をつくり、次世代の子どもたちに美しい自然を愛でる心を伝えたいと考えています」というメッセージを発信しています。

現地では、小さな苗木に混じって既に大きく育ち始めている樹木もあり、ゴミの山から美しい森へと、刻々と変化していく姿が楽しみです。



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大野 多恵子