Health
2010.12.12 関 和音
Lab Mouse checkin out the camera:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Rick Eh?
ハーバード大学医学校の分子生物学者、ロナルド・デ・ピンホ氏ら研究チームによる「若返り」の実験の成果が11月28日付の科学誌「Nature」オンライン版に掲載され、話題を呼んでいます。
数年前、デ・ピンホ氏は実験で生物の寿命に深く関係する「テロメラーゼ」という酵素を欠くマウスを作り出し、経過の観察を行いました。すると、一般的なマウスの寿命は3年間とされるなか、テロメラーゼを欠く実験用マウスはわずか6カ月で死亡。成人期の初めには80歳の人間によく見られる症状を示したそうです。
テロメラーゼの量が少ない生物は、早期に細胞の死と老化が起きることが既にわかっており、米カリフォルニア大など3大学の研究者による「寿命のカギを握るテロメアとテロメラーゼ酵素の仕組みの発見」は2009年のノーベル医学生理学賞を、受賞しています。
そこで、デ・ピンホ氏はマウスにテロメラーゼを活性化させる物質を注射。すると、マウスの老化が逆行する効果が見られたそうです。
「私たちが見たのは、老化現象の減速や安定ではありませんでした。全く予期していなかったほどの劇的な逆行を目にしたのです」とデ・ピンホ氏。
テロメラーゼの活性化にはがんの発生リスクがあり、人間への研究成果の応用はまだ模索段階にあります。
しかし、もしも人間の若返りが将来的に可能となったとしたら...?
まるで2008年公開のブラッド・ピット主演映画の主人公「ベンジャミン・バトン」のよう。80歳で生まれ、年を取るごとに若返る彼が現実になったら、怖いような面白いような「数奇」な感じがしますね。
関連するURL/媒体
http://www.guardian.co.uk/science/2010/nov/28/scientists-reverse-ageing-mice-humans