Imagination
2010.07.09 宮原 桃子
町でおばあちゃんが重そうな買い物かごを持って階段を上ろうとしています。あなたなら、おばあちゃんに手を差し伸べますか?
ドイツのキリスト教系社会福祉団体Diakonie(ディアコニー)は、老人・障害者介護施設や病院、託児施設など社会福祉施設を数多く運営する組織。同フランクフルト支部が今年2月より、老人や障害者、病人の介助や生活相談対応などのボランティアを募るために始めたのが、「おばあちゃんを助けて(HELP THE OMA)」キャンペーン。
80代のおばあちゃんKlara、Maria、Charlotteの3人がフランクフルトの町中を歩きまわり、階段や信号、切符売り場などで困ってみせ、助けてくれた人々にボランティア募集のちらしを渡すというもの。映像はまるでドッキリカメラのようですが、助ける人々の姿がほほ笑ましく映し出されています。同キャンペーンは、5月27日にニューヨークで発表された世界的な広告賞Clio Awards(コンテンツ&コンタクト部門)で銅賞を獲得するなど、その手法が注目を集めています。
ドイツでは、町中で他人同士が助け合う姿をよく目にします。例えばベビーカーを持って電車に乗る際には、必ず手伝ってくれる人が現れ、またお店に入ろうとする老人のためにドアを開ける子供がいたりと、助け合いの精神が自然に根付いているように感じます。
老人・子育てなど社会福祉にまつわる問題では、とかく制度や施設にばかり議論が向きます。それも重要なことですが、日常の中でお互いがほんの少し助け合うことも、積もり積もれば社会を大きく変える力になるはずです。
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