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電力の「見える化」を取り入れて、スマートな節電生活を始めよう

2015.07.17 ささ とも

School of Jumping Silver Carp:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by skyseeker

今年も7月1日から夏の節電期間が始まりました。政府が節電を呼びかけるなか、IT技術を総合的に利用した「見える化」サービスが次々と導入されています。

<夏のピーク電力を乗り越える>
夏の節電は、今年も数値目標は見送られ、7月1日から9月30日までの平日9時から20時まで沖縄をのぞく全国各地で取り組まれます。その背景には、2013年9月から原発がすべて稼働停止し、老朽化した火力発電を利用しつつ、全体では電力の安定供給に最低限必要な予備率3%以上を確保できる見通しはついているものの、関西電力と九州電力のそれぞれ管内で予備率3%を確保できないという厳しい状況があります。

<今年の夏は「見える化」>
東日本大震災以降、節電意識が高まり、「電球をLEDに変える」、「待機電力を下げる」、「空調温度を調整する」などの工夫を取り入れた人も増えました。でも、毎月届く請求書の電気使用量は期待通りには下がってくれないし、面倒だから続けていない、という声もよく聞きます。解決策の要となるのが、電気使用量のデータを数字やグラフにして表示盤やパソコンで見て分かる「見える化」技術です。

この夏、さまざまな「見える化」技術が導入されています。経済産業省は国を挙げて節電意識を盛り上げようと、電力会社管内の電力使用状況を表示するポータルサイトを開設しました。電力会社別にその日の電力使用状況が5分ごとに更新され、ピーク時供給力に対して何パーセント使用しているかを見ることができます。例えば、夏日となった7月15日午前10時の東電管内の電力使用量は80%を超えていました。

<スマートメーターがもっと便利に>
東京電力と中部電力は、7月1日から次世代電力計(スマートメーター)を利用した新サービスを開始しました。東電は計測した前日の30分ごとの使用量のデータを、同社ウェブサイト「でんき家計簿」で閲覧できるサービスをスタート。当サイトでは1日分の電気使用量が時間ごとのグラフになっていて、知りたい時間帯にマウスを置くとその30分間の使用量が出てきます。例えば、朝食の用意をしていた時間にどのくらい電気を使用したか、エアコンをつけたらどのくらい使用量が増えたかがわかるようになっています。中電も前日までの日ごと・時間ごとの電気の使用量が見られるウェブサイト「カテエネ」を開設。インターネットをテレビにつなげば、テレビ画面でも見ることができます。東電も中電も、他の利用者の家族構成や住宅のタイプと比較したデータを加えて、利用者が自分のライフスタイルに合った契約内容に変えられるようになっています。スマートメーターについてはHEMS(家庭の住宅用エネルギー管理システム)とともに、2016年の電力自由化を意識した関連企業がこぞってサービスの幅を広げています。

<HEMSの節電効果は?>
スマートメーターを各家庭のHEMS機器につなげれば、スマートメーターで計測したデータをHEMS機器に送信するサービスも同時に開始されました。HEMSは、住宅で使用するエネルギーを管理するために、機器ごとの消費量の「見える化」と制御を住宅全体で行うことができる次世代機器で、スマートハウスなどで利用されています。そのHEMSにどれほどの節電効果があるのでしょうか? 

©スマートライフジャパン推進フォーラム「HEMSとは?」より

東京都市大学と東急不動産次世代技術センター、ファミリーネット・ジャパンが共同でHEMS機器に関する省エネ調査を行いました。対象者は東京23区と神奈川県相模原市にあるクラウド型HEMS機器を設置した分譲マンションに暮らす居住者。調査によると、HEMSのサービスを利用している住戸では、利用していない住戸より電力消費量が2割少なく、HEMSを週に1、2度見る人は見ない人より電力消費量が約2割少ないという結果が出ました。また、HEMS利用者の満足度は高く、多くの人が今後も利用を続けたいと答えています。一方、利用していない人の75%がそのようなサービスがあることを知らなかった、または手続きが必要だと知らなかったと答えていることから、HEMSの認知度がまだ低いことも分かりました。

<次世代エネルギー技術の普及を推進>
経済産業省はHEMS機器など次世代エネルギー技術の普及に向けた施策を掲げています。例えば、経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証」に認定された横浜市の「横浜スマートシティプロジェクト」は、街全体でエネルギーの受給バランスを最適化するためのシステムを導入・実証しています。HEMSの導入数は目標を上回る約4200世帯を達成。実証に参加した人の意見をみると、「HEMSで使用電力を把握し、契約アンペアを下げたことで電気代が安くなった」「深夜電力に合わせた生活をして節約した」と、効果を実感しているようです。

夏の節電を機にIT技術を利用した「見える化」を取り入れれば、節電継続も期待できそうです。



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