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今月のレコメンド:いろいろな人がいて当たり前な社会に「職場のLGBT読本」

2015.10.15 宮原 桃子

世界は今、あらゆる民族、国籍、宗教、言語などが混ざり合い、多様性を前提とした社会になりつつあります。企業でも「ダイバーシティ(多様性)」戦略は、今や当然のテーマです。その多様性には、「性のあり方」も含まれ、最近「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」という言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか。

特に欧米を中心に、LGBTを受け入れる社会の仕組みや個人の意識が進んでいる国々は多く、例えば私が暮らしていたドイツでは、LGBTに対して婚姻とほぼ同等のパートナーシップ制度があります。街中で同性カップルの姿もよく見かけ、職場でカミングアウトしている人も多く、また幼稚園などでも同性カップルとその子どもが、周りから普通に受け入れられている様子を目の当たりにしました。

日本の状況を見ると、2015年の電通総研の調査では、人口の7.6%(約13人に1人)がLGBTであるとの結果が出ています。LGBTの人びとにとって、日本はまだまだオープンな社会とは言えませんが、ここ数年さまざまな変化が起きています。今年4月から、渋谷区で全国初の同性パートナーシップ条例が施行され、世田谷区でもパートナーシップ宣誓制度が11月から実施される予定です。また、企業においても、日本IBMやゴールドマンサックスなどで同性カップルへ結婚祝い金を支給するといった動きがあるほか、毎年企業関係者がLGBT施策について討議するイベント「work with Pride」には、昨年は200人もの参加者が集うなど、企業における関心も高まっています。この「work with Pride」は、今年は11月6日(金)に「カミングアウトと日本の職場」をテーマに、渋谷区長なども招いて開催される予定です。

LGBTが働きやすい職場を実現するために企画されたフォーラム「work with Pride 2014」の会場風景。今年は11月6日に開かれる

今月ご紹介するのは、「work with Pride」をきっかけに生まれた「職場のLGBT読本」。LGBTを切り口としたビジネス本です。LGBTのそもそもから、世界と日本の状況、職場でLGBTが抱える課題や企業の対策、先進的な行政や企業のケーススタディーなど、基礎から実務まで幅広く網羅しています。わかりやすい文章に加え、コラムやイラスト、グラフなども多く、誰にでも読みやすい内容になっています。著者の1人である柳沢正和さんは、「1人でも多くの人が、LGBTであることを隠さず、ストレスなく働ける、そんな時代になることを願っています」と記しています。

誰もが、自分自身を偽らず、その人それぞれのあり様を尊重されて暮らせる社会へ。LGBTは、決してテレビや海外などの遠い世界の話ではなく、身近な日常のテーマです。多様な社会を生きる誰もが、読んでおきたい一冊です。



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