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2011.06.01 関 和音
5月26日、広告代理店の博報堂はスウェーデンの大手コンサルティング会社、SWECOインターナショナル(スウェコ社)と、環境共生・高齢化対応のまちづくりにおいて、三菱総合研究所とともに三社で協業を進めていくことを発表(PDF)しました。
生活者とのコミュニケーション手法に長ける広告代理店の博報堂と、シンクタンクの三菱総研、都市開発のノウハウを持つスウェコ社の連携は、日本のまちづくりを大きく変えるかもしれません。
博報堂はスウェコ社との提携理由を、博報堂が三菱総研と共に進める「『プラチナシティ』の開発モデルと目的・手法の共通部分が多かったから」としています。
博報堂と三菱総研の提唱する「プラチナシティ」(PDF)とは、様々なコミュニティー課題を解決し、人がプラチナのように輝き続けることの出来る「持続可能なまち」を意味します。環境面ではCO2と廃棄物の削減を目指し、健康面では要介護者や生活習慣病患者の数を減らす事を目標にしながら、高齢者にも若い世代にも満足度の高いまちを実現し、同時に行政コストや生活コストを抑える「統合的」なまちづくりを特徴としています。
日本のまちづくりは、行政主導のトップダウン型で進められることが多いのが現状です。トップダウンのまちづくりには意思決定の迅速さなどの利点もありますが、環境問題の悪化や高齢化社会への対応の不十分さなど、課題も噴出しています。一方でスウェコ社は、縦割り型のインフラ整備を廃し、統合的な都市開発手法「Symbio City」をスウェーデン、EU各国、ロシア、中国などで推し進め、成果を上げています。
震災からの復興も含め、今後のまちづくりには持続可能性という視点が欠かせません。20年後、30年後の社会はどのように変わっているのか。トップダウンではなく、生活者一人ひとりの意見を汲み上げたまちづくりの可能性を「プラチナシティ・プロジェクト」は示しているのではないでしょうか。
関連するURL/媒体
http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2011/20110526.pdf