Living
2011.10.14 瀬戸 義章
カラーコーンの内側にアルミホイルを貼ることで、太陽熱でものを温めることができる photo by yoshiaki seto
仙台市若林区の避難所で、74歳のおばあさんからこんな話を聞きました。「ここに逃げてきてね、あったかいお味噌汁が飲めるまで、1カ月もかかったんだよ」と。もしかしたら、工事用のカラーコーンとスナック菓子の袋があれば、あるいは空き缶とサラダオイルがあれば、それはもっとはやく手に入ったかもしれません。
10月8日から10日にかけて、東京の恵比寿ガーデンプレイスにて災害wiki「OLIVE」の展示が行われました。OLIVEは、災害時に身のまわりにあるモノを使って生きるための知恵を集めたプロジェクトです。東日本大震災の発生から40時間後に立ちあがったこのウェブサイトには、いまや150以上のノウハウが集まっています。
ガーデンプレイスの地下1階に、そのノウハウの実例がありました。たとえば、空き缶でつくった「ランタン」。あるいは1円玉と紙と単3電池とでつくった「単1電池」やオリーブオイルとたこ糸でつくった「キャンドル」などが並んでいました。
こうしたノウハウは救援活動を行ったNGO・NPOに活用され、また、避難所にはフリーペーパーという形で配布もされました。とくに反響が大きかったのは、バケツとビニール袋と新聞紙とでつくる「トイレ」や、長袖の衣服とテープとでつくる「布ナプキン」、水・砂糖・塩でつくり、脱水症状を回復させる「経口補水液」など、切実なニーズに対してのアイデアです。
このプロジェクトを立ち上げたNOSIGNERの太刀川英輔さんはこう語ります。
「この展示で伝えたいことは、二つあります。ひとつは、『一見ゴミに思えるものでも、生きるために活用することができる』ということ。もうひとつは、『どこだって災害のリスクはある。いざというときに、ここで見たことを思い出してほしい』ということです」
現在、メディアファクトリー社から『OLIVE いのちを守るハンドブック』として、ノウハウをまとめた本が出版されています。会場には、1冊は手もとに置いてもう1冊は避難袋に入れている、と話す人がいました。
宮城県の南三陸町では、水道が復旧するまで114日もかかった地域がありました。電気も水もガスもなしに、長期間生きる。それはけっしてありえないことでは無いのです。生きるための視点を、身につけていきましょう。
関連するURL/媒体
http://sites.google.com/site/olivesoce/