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2010.05.24 美ら地球ジャーナリスト
岐阜県最北の飛騨市にて、古民家の調査が行われました。県の依頼を受けて株式会社「美(ちゅ)ら地球(ぼし)」が実施したもので、対象家屋は、築50年以上、伝統構法で建てられ、意匠の優れた木造家屋748戸。調査の結果、4分の3以上が戦前築で、大規模なものが多く、歴史、規模共に文化財級の家屋が市内に点在していることがわかりました。
しかし、一方では空き家が24%、2人以下で居住しているケースが34%と、あわせて過半数。さらに後継ぎがいないことが確認できた家も3割を占めました。このままでは、飛騨の匠(たくみ)の技で造られた伝統的家屋が20年後には半減、またはそれ以上消滅する可能性があります。
このような家は、一度壊してしまえば二度と同じものは建てられないと考えられます。太い大黒柱や梁(はり)に使用する材が入手困難であり、また、現在の建築基準法の関係で簡単には伝統構法の家は建てられなくなっているのです。
日本の家は、戦後急速に新建材の普及が進み、農業の衰退、都市への人口流出もあって、 木造の伝統的家屋が全国で急減していきました。しかし、現在では逆に、シックハウスの心配がなく、環境面からも自然に還る木造の家が注目されています。何とかして、日本が世界に誇る伝統木造建築を残していきたいものです。
現地では、不定期に「飛騨の民家お手入れお助け隊」を実施しています。みなさんも立派な民家に実際に触れ、その貴重さを体感してみませんか。
関連するURL/媒体
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20100516ddlk21040030000c.html