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2011.04.22 岩井 光子
村民へのインタビューを撮影する大学生
3月12日未明、震度6強の大きな地震に見舞われた長野県北部の栄村。死者こそ出なかったものの、村の多くの住居や建物、道路、ライフラインが崩壊し、一時は約2300人の全村民のうち、1700人を超える村民が避難生活を余儀なくされました。良質な米の産地として知られる青倉集落のよりどころであった青倉公民館は全壊。村民の大半は農業に従事していますが、豪雪地帯のために雪下の農地や水路の被害はまだ明らかになっていません。
東北の未曾有の被害に押され、メディアではほとんど取り上げられなかったこの村の窮状を伝えようと動いたのが、首都圏の大学生8人。多彩なイベント事業を仕掛ける「グラウンディングラボ」(島津真太郎社長、東京・世田谷区)のサポートでフリーマガジンの編集や、大学専門の動画サイトに携わる学生たちです。現地を訪れ、村民へのインタビューを行った7分余の動画を4月9日にアップしたところ、これまでに3万6000件を超えるアクセスを記録、反響を呼びました。
彼らと村とのそもそもの縁は、グラウンディングラボが手掛けていた長野県白馬村の民宿再生などの地域プロデュース事業。活動がNPO法人栄村ネットワーク理事で同村在住の松尾真・京都精華大准教授の目に留まり、栄村でも何か事業を始めないかと声がかかりました。そこで、有志が村の雪下ろし作業などを手伝うようになった矢先に起きたのが、今回の大震災。学生たちは何かしたいと思いながらも、現地のニーズに沿わない支援はかえって迷惑になると考え、自分たちにできることとして映像で村民の声を伝えることを選んだのです。
撮影に同行したグラウンディングラボの都丸一昭さんは、「被災地のリアリティーはテレビ画面を通してみるのとは大きく違い、学生たちは衝撃を受けたようでした。高齢者が多い栄村では倒壊した家を修復するお金を工面するのは大変なことだし、生活を支える農業も再開できるかどうかわからない。それでもここに住みたい、そう話す村民の姿が強く印象に残った様子だった」と言います。
学生たちは活動をサイト「栄村おこし」にまとめ、現在、村の被害と復興の様子を日々ブログにつづっている栄村ネットワークの松尾さんが訴える青倉公民館の再建基金への協力を共に呼びかけています。
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http://touhokukantoudaishinsai.com/