Biodiversity
2009.08.07 山田 由美
人の活動が生み出す騒音は自然界の多くの種に影響を及ぼしており、中でも悪影響を受けやすいのが聴覚への依存が大きい「鳥」と言われています。ところが、ときには騒音の中で生き抜く鳥もおり、米国コロラド大学の博士課程で学ぶクリントンD.フランシス氏はその実態調査を行いました。
調査対象はニューメキシコ州北西の天然ガス井がある森林地帯。ガスを掘り上げるコンプレッサーの近くではジェットエンジンのような爆音が常に鳴り響きます。同氏らがコンプレッサー付近の井戸とコンプレッサーがない静かな井戸付近の鳥の巣の数を比べたところ、数の差はなかったものの、静かな場所では32種の鳥が見つかったのに対し、コンプレッサー付近では21種しか見つからず、騒音が多くの種を遠ざけてしまっていることがわかりました。
意外なことに繁殖の数には差は出ませんでしたが、騒音を嫌う捕食者のアメリカカケスなどの鳥が遠ざかったため、被捕食者が繁殖したと考えられます。耐性があると安心するより生態のバランスを崩してしまった功罪の念の方が大きく感じられる結果です。
関連するURL/媒体
http://www.nytimes.com/2009/07/28/science/28obnoise.html? _r=1&ref=science