Biodiversity
2009.11.28 高田 久代
水深7561メートル--南半球一海の深いところにすむ魚の姿が初めて写真に収められました。調査に当たった日本・ニュージーランド・イギリスの研究者の合同チームがニュージーランドの北東にあるケルマデック海溝で撮影に成功したのは、10数匹のカサゴ目クサウオ科の寒水魚(Notoliparis kermadecensis)。真っ暗で氷のように冷たい海で、死んだ魚に付くエビのような生物を食べながら、1平方メートル当たり8000トンもの水圧を受ける環境に生息する驚異的な魚です。
ニュージーランド国立水圏大気圏研究所(NIWA)のアシュレイ・ローデン博士は、今回の魚が2008年に日本海溝の7700メートル地点で撮影されたシンカイクサウオという別の寒水魚と驚くほど似ている点を指摘。これらの魚が海溝間を行き来しているとは考えられず、研究者たちは地理的には数千キロも離れているものの、この2種の深海魚は共通の祖先を持っていると推測しています。
合同チームのリーダーでアバディーン大学(スコットランド)のアラン・ジェイミソン博士は、「まとまった数の大変似ている魚が驚くほど離れた海で発見されたことはすばらしい」としながらも、「この魚たちがなぜこのような過酷な環境を生息場所に選んだのかは、未だ謎のままだ」と話しています。
関連するURL/媒体
http://www.nzherald.co.nz/science/news/article.cfm?c_id=82&objectid=10609170