Peace
2014.05.17 山田 由美
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環境省が「捨てられた犬や猫の殺処分をなくしたい」と本格的な取り組みを始めました。「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」と名付けられたこの活動は2013年11月に始まりました。「かわいいから」「ほしいから」という気持ちで飼い始めても、責任を持って飼い続けることができずに捨てたり、保健所に持ち込めば、引き取り手がないかぎり行く先はガス室での不幸な最期。利益が出なければ犬や猫を処分してしまうというペットショップやブリーダーも、尊い命を祖末に扱っているとしか言えません。いずれも動物愛護・福祉への意識が低いといわれる日本が抱える大きな問題でした。
近年自治体やNPOなどの献身的な努力により返還されたり、譲渡されたりする割合は増えてきたものの、1年間に殺処分される数は引き取られた犬や猫の80%近い、およそ16万2000頭。決して失っていい命の数ではありません。また殺処分をしなければならない行政職員の苦しさについても、プロジェクトを進める環境大臣政務官の牧原秀樹氏は、「ひまわりと子犬の7日間」という映画を引き合いに語っています。
環境省はこれらの現状を変えるため去年から「犬猫の殺処分がなくなること」を最終ゴールに話し合いを重ね準備を進めてきました。結局密接に関わるのは飼い主の責任のあり方。殺処分をなくすまでに行う対策をまとめ、6月には具体的なプランを発表するとしています。
活動の一環として、今年4月10日には「収容動物検索情報サイト」が立ち上がりました。このサイトでは全国の自治体の保健所や動物愛護センターなどに保護・収容されて飼い主を待っていたり、譲り受けることができる犬猫の情報が閲覧検索できる画期的なサイト。捜したい、引き取りたいという人と大切な命を日本中でつなぐことができました。写真を掲載している自治体もあります。サイトを通じて目にした悲しげな表情の犬や猫たちが一頭でも多く愛情深い飼い主の元で終生暮らせることを祈ってやみません。
ちなみに東京では5月13日「TOKYO ZEROキャンペーン」が発足しました。2020年の東京オリンピック開催までに犬猫殺処分をゼロにしようというもの。これらの個々の取り組みを絡めて社会全体が変わっていきたいものです。
関連するURL/媒体
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/project/index.html