Peace
2014.10.20 平澤 直子
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Asian Development Bank
ノルウェーで37歳の男性と結婚させられることになった12歳の少女の手記が話題になりました。実はこれは10月11日の「国際ガールズ・デー」にあわせた国際NGOプラン・ノルウェーによる児童婚撲滅キャンペーンでしたが、この結婚までをつづった若い花嫁のブログは100万人以上もの人に読まれ、児童婚という問題をノルウェー、そして世界に広めることとなりました。
ノルウェーや日本を含む先進国ではまだ認知度の低い児童婚ですが、プランの日本支部であるプラン・ジャパンによれば、途上国を中心に1日に3万9000人もの少女が「早すぎる結婚」を強制され、教育の機会を奪われ健全な発育を妨げられています。また、児童婚のほかにも、「女の子だから」というだけの理由で学校に行かせてもらえなかったり、食事を十分に与えられられなかったり、レイプされたり。また、ときには生まれる前に殺されてしまうといったむごい現実があります。
こうした社会を変えようと、国連は2011年、「国際ガールズ・デー」を制定しました。以後毎年この日には、各国でさまざまなイベントが行われており、日本でも9月から10月にかけて、国際ガールズ・デー推進ネットワークが中心となり国際機関、大学、自治体、NGO、ガールスカウトなど多様な団体がイベントを行っていますが、今年は特に、以下のような、世界の少女を追ったドキュメンタリー映画の上映が目立ちます。
・「Girl Rising ~私が決める、私の未来~」
早すぎる結婚、震災、貧困、カムラリ(借金のカタなどに売られる奴隷のような家事使用人)、性的虐待や女子教育を阻む様々な障壁など、世界の少女が直面する状況と彼女たちの持つ可能性を描いたドキュメンタリー。 カンボジアやハイチなど9カ国から9人の少女が登場します。
・「I am a Girl」
カンボジア、カメルーン、アフガニスタン、アメリカ、パプアニューギニア、オーストラリア6カ国6人の少女たちの日常を切り取ったドキュメンタリー。それぞれの環境と文化の中で"大人の女性"に成長していく彼女たちの、困難に立ち向かう力と勇気溢れる姿が胸を打ちます(※対象:高校生以上の方におすすめします)。
・「ソーラー・ママ」
アフリカ、南米、中東、アジア各国から貧困層の女性が集まり、太陽光発電の技術を学ぶインドの「裸足の大学」。子どもがいれば習得後に村を離れることもなく技術が定着できるという理由から、参加を許されるのは母親のみ。読み書きができなくても6カ月で技術を習得することができ、帰国後は技術者として安定した収入を得る可能性が高まるというプログラム。このプログラムにヨルダンから参加した女性が夫の妨害にあいながらも、自立への道を切り開いていこうとする姿を追います。
・「ネファリアス~売られる少女たちの叫び」
年に320億ドル(3兆4000億円)以上を稼ぎ出し、犯罪産業の中でも急成長している人身売買。なかでも、子どもや女性が被害者になる性産業はその多くを占めます。被害者はなぜ人身売買業者の手に落ちてしまうのか、この巨悪を支えるのは何なのか。 カメラは、人身売買の温床となっている東欧モルドヴァ共和国の孤児院から、孤児院出身者の多くが売られていく先のオランダ・アムステルダム、「性売買のディズニーランド」とも称されるタイ、親が日常茶飯事に子どもを売るカンボジアのある村を経て、最後にアメリカの実態に目を向けます。
また、映画以外にも、少女の問題に焦点を当てたブックフェア「世界の女の子を知ろう。」(英治出版が選書)も全国の書店で開催中です。こちらには、「女性が教育を受ける権利」を訴え命がけで活動し、ノーベル平和賞を史上最年少で受賞したばかりのマララ・ユスフザイさんの著書「わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女」や、以前地球ニュースでも取り上げた「Because I am a Girl」、こちらも地球ニュースで取り上げたカカオ農場での児童労働問題を扱った「チョコレートの真実」を含む、数多くの名著が並びます。
今年の芸術の秋、読書の秋は、こうした世界の少女に関する映画・本も本棚に加えてみてはいかがでしょうか。
関連するURL/媒体
http://www.plan-japan.org/girl/about/girlsday.html