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カンボジアの地雷原をオーガニックコットンの畑に

2011.07.12 大野 多恵子

(c) MAKI ISHII

1960年代のベトナム戦争、ポルポト政権時代の内戦を経て、1992年の和平実現までの間に、400万-600万個とも言われる地雷が埋められたカンボジア。その地雷を除去した後の土地をオーガニックコットン畑に変えて、手紡ぎ糸から製品にする-そんな活動を支援し、現地のNGO「Nature Saves Cambodia!」と共同で、日本との橋渡し役を務めているのが、NPO法人「地雷原を綿畑に!Nature Saves Cambodia!」です。

2007年から現地で綿栽培を行うなどの準備期間を経て、2010年にNPO法人を設立したのが代表の山本賢蔵さんと石井麻木さん。2人はその前年にバッタンバン州で、トーンさん、ソピエプさんというそれぞれが地雷で片足をなくした夫妻に出会い、それがプロジェクトスタートのきっかけとなったのです。地雷除去後の安全な土地を4ヘクタール確保し、夫妻や仲間たちは7月に種まきをし、冬には綿花の収穫を行いました。

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トーンさんとソピエプさん (c) MAKI ISHII


一方で、山本さんたちは、この国の伝統であった手紡ぎを復活させようと村々を訪ね歩き、出会ったのがかつて糸紡ぎの名人だった3人の高齢女性でした。50年前の手紡ぎ道具を復活させ、有機農法の綿花から出来上がったのが、ほわっとした優しい糸。その後輪は広がり、今では3カ所の村で、70代の女性を中心に約100人が糸を紡いでいます。

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糸紡ぎ名人のおばあさんの伝統製法が村に広がった (c) MAKI ISHII


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(c) MAKI ISHII


トーンさん夫妻も糸紡ぎの研修を受け、次第に他の地雷被害者家族の人たちに指導できるようになり、綿栽培も今は8家族が一緒に行っています。一時はどん底で追い詰められた夫妻の生活に、しっかりとした自立の道が見えてきたのです。

出来上がったストールは、昨年から日本のショップ「メイド・イン・アース」とのコラボレーションで「with peace」というブランドで売られるようになり、また「アバンティ」でも、手紡ぎ糸などを扱っています。石井さんは、「それまでカンボジアのことをほとんど知りませんでしたが、トーンさん夫妻との出会いから行動を起こさずにいられませんでした」と話し、現地と日本との橋渡し役として活躍しています。今後は、地雷除去後の畑をさらに増やしていきたいとのこと。

東日本大震災後には、糸紡ぎをする女性たちから「日本に恩返しを」と、福島県浪江町などに計23万円の義援金が送られたそうです。



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カンボジア (アジア/オセアニア

大野 多恵子