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Peace

平和への願いを乗せてインドからやってきたミュージカル「平和ぞうれっしゃ」

2011.09.05 ささ とも

(c)竹内幸史

終戦から66年目の夏、戦争や平和のことを考えることがありましたか? 日本では戦時の記憶は年々薄らいでいますが、この瞬間にも世界各地の戦場で傷ついている子どもがたくさんいます。反戦と平和へのメッセージが込められたミュージカルがこの夏、全国6都市(広島、長崎、福岡、大阪、名古屋、東京)で開催されました。私は東京で8月23日から行われた2泊3日のキャンプに参加してきました。

ミュージカルのタイトルは「平和ぞうれっしゃ」。南インドのバンガロールで児童労働に携わる子どもを救うための学校「ボーンフリーアートスクール」の創設者ジョン・デバラジ氏が、戦中の日本を描いた絵本『ぞうれっしゃがやってきた』をもとに、「非暴力」を訴えたマハトマ・ガンジーの思想などを取り入れて制作したものです。キャンプにはスタッフと一般公募の合わせて約70人が参加。ボーンフリーのインドの青年たち、プロのアーティスト、小学生から大学生、社会人が、デバラジ氏の演技指導を受け、最終日の25日にはグリーンホール相模大野の舞台で「平和ぞうれっしゃ」を公演し、大成功をおさめました。

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デバラジ氏によるレッスン (c)Leland Buckley


キャンプでは演劇指導の合間に「平和の講義」の時間がありました。「平和ぞうれっしゃ」にも登場する日本の平和憲法と広島・長崎の原爆は、世界の平和・核廃絶運動の象徴であること、戦争は一部の強欲者による金儲けから始まるが、戦争の犠牲者は常に子どもであること、インドでは日本の人口より多い1億3000人超の子どもたちが児童労働を強いられていることなどを、デバラジ氏が歌を交えながら語ってくれました。児童労働の経験を乗り越えて将来の夢を語る青年アナンと、熱心に耳を傾ける日本の若者たちの姿を見て、私たち大人が、彼らが迷わないよう平和への道すじをつくっておくことが大切だと実感しました。

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児童労働と平和の講義(写真上) 青年アナンとひとやすみ(同下) (c)Leland Buckley


では、自分たちはどうすればいいのでしょうか? そのヒントはミュージカル制作の場にあったような気がします。このキャンプでは、参加者それぞれがダンスや演技、小道具や衣装づくり、通訳や料理の支度と、何かしら自分の特技を活かして、みんなでひとつの舞台を作り上げました。この体験から、一人ひとりがとてつもなく大きな潜在能力を持っていると改めて思います。その力がひとつに集まれば、大きなことも成し遂げられる、だから自分が持っている特技や能力を活かして仲間と一緒に平和運動につなげていけばいい――それが私の出した答えです。

ボーンフリーアートの活動は、東京でのイベントを主催したボーンフリーアートトーキョーや、全国各地にある支援グループによって今後も継続される予定です。



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