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伊南川ウルトラマラソンで福島に熱い声援を

2011.11.04 奥山 賢治

色鮮やかな紅葉を愛でながら駆けるランナー (c) Kenji Okuyama

山なみの紅葉が美しく色づく、福島県南会津・伊南川。10月22日に「伊南川100キロウルトラ遠足(とおあし)」が開催されました。そう、100キロもの道のりを制限時間16時間内に走るマラソン大会です。早朝5時にスタートし、尾瀬を源流とする一級河川の伊南川が流れる山あいを、ランナーたちが駆け巡るのです。

2010年に始まった本大会は、国内外でウルトラマラソンの大会企画・運営に携わっているランナーであり、ロサンゼルスからニューヨークまでの4700キロを64日間で走るトランス・アメリカ・フットレースを完走した海宝道義さんと地元の民宿「田吾作」を営む酒井富美さんの出会いによって実現したもの。

2009年に酒井さんが伊南川で小さなトレイルランニングを企画したところ、海宝さんが参加。その際、酒井さんが海宝さんに伊南川の地図を見せたことが、大会開催のきっかけ。伊南川の大自然に感銘した海宝さんに広告塔となってもらい、酒井さんは地元の旅館民宿、役場などに協力を呼びかけ、半年間の準備期間を経て、第1回目(出走者数:340人)の開催となったそうです。 

100キロもの道のりは、樹齢800年の「古町の大イチョウ」がそびえ立つ、伊南小学校をスタートし、伊南川の源流である尾瀬に向かいます。そして、尾瀬ケ原で知られる「尾瀬国立公園」、奥会津の秘湯「木賊(とくさ)温泉」などを経て、エメラルドグリーンに煌(きら)めく伊南川を眺めながら、伊南小学校へと帰ってきます。エイドステーション(給水所)では特産の南郷トマトをはじめ、リンゴ、豚汁、焼き肉なども振る舞われます。 

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樹齢800年の「古町の大イチョウ」 (c) Kenji Okuyama


今年で2回目を迎える本大会。震災もあり、大会事務局代表でもある酒井さん自身、大会を中止にするべきか悩んだそうです。しかし、海宝さんの「辞める理由、どこにもない」の一言で大会開催を決意。募集期間はたった4カ月間でしたが、250人ものランナーが参加しました。

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大会当日。大会終盤を迎え、和んだ様子の酒井さん


酒井さんは次のように語ってくれました。「震災や集中豪雨の影響がありましたが、250人のランナーが伊南川に来てくれて本当に嬉しかったです。できるだけ、去年と同様に一人でも多くのランナーに伊南川の紅葉を満喫してもらい、地元の方々と触れ合って欲しいなと思いました」

今回、私と交流があるアスリート・冒険家たちを応援するグループ「piece of earth」のメンバーも参加しました。参加メンバーからは次のような声があがっています。

「福島県に密着したイベントを盛り上げたいと思い、参加しました」

「正直、こんな素敵なマラソン大会が福島にあるとは思ってもなかったです。山、温泉、清流、郷土料理など福島に魅了されました。来年はもっと多くのランナーと一緒に参加したいです」

「ウルトラマラソンをはじめて完走しました。100キロは果てしなく長い道のりでしたが、自然や地元の方に力をもらえました」

「伊南川の食事はどれも美味しかった。特に南郷トマト、本当に美味しいです!」

しかし、南会津はこの夏、集中豪雨で大きな被害を受けました。今は穏やかな川の流れに沿って走れていますが、一転目を山側に向けると、本流へと注ぐ支流周辺には、今でも生々しい土石流の跡が残っています。

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集中豪雨の被害を受けた家屋  (c) Kenji Okuyama


そんな状況ではありますが、酒井さんは来年も何事もなく大会を開催できることを願っています。そして、その想いはランナーも同じのようです。原発の問題など抱えているものの、美しい自然や食材に満ちた福島県にはかわりありません。そして、南会津の原風景をいつまでも残して欲しいと切に思います。来年も再来年も、紅葉した伊南川の山あいを大勢のランナーたちが駆けることを願っています。

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伊南川の風光明媚な原風景  (c) Kenji Okuyama


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