Politics
2012.12.13 岩井 光子
キャンプ場さながらのせんきょcamp渋谷:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Photo by Koichiro Suzuki/Senkyocamp
目前に迫った衆議院議員総選挙。日本の有権者の平均年齢はなんと53歳なのだそうです。高齢化度はもはや主要国ではトップクラス。この傾向は年々エスカレートし、2050年には平均年齢は60歳を超えるとみられています。となると、政策も高齢者寄りにならざるを得ないのでしょうか...。
35歳以下の有権者は全体の10%ほどという状況のなか、福島の若者からはこんな声が上がりました。「最終的には投票率の高い年配の人たちが考える結果になってしまうのかな。僕たちが変えたいと思っても変えられない、そういう現実に萎(な)えてしまう」
社会的地位や権力、財力のある人たちだけが選挙について発言できるといったような空気を変えたい。もっと一人ひとりが主役になって未来をこうしたい、と楽しく発言できないものかと、12月1日に渋谷で立ち上がったのが「せんきょcamp」という新しいムーブメントです。呼びかけ人はgreenz発行人の鈴木菜央さんとアースガーデンの鈴木幸一さん、社会起業家フォーラム代表で元内閣官房参与の田坂広志さん。3人は今の「観客型民主主義」を「参加型民主主義」に変えていきたいという思いで意気投合。各々が火をおこしたり、水をくんだりと役割を果たしながら場を作っていくキャンプという名称に新しい選挙へのかかわり方のイメージを託しました。
全国各地で自由にせんきょcampを立ち上げてほしいと呼びかけたところ、これまでに横浜、石巻、大阪、雲原(京都)、熊本、福島などで有志が現れ、13カ所に拠点が生まれました。言い出しっぺの渋谷では連日トークイベントや投票率を上げるための作戦会議が開かれています。12日には「選挙に行きたくなるアイデア」をみんなで出しまくる会が開かれました。企画したのはコピーライターの並河進さん。「実は、選挙というテーマで面白いことが全然なされていない。つまり、面白いことやり放題のクリエイティブの未開拓地」と並河さんは美大生やデザイナー、CMプランナー、コピーライターの人たちに参加を呼びかけました。
選挙というと何か難しい顔をして批判的なことを言わなければならない気がする。政治の話をするとひかれてしまいそうなので友人と選挙について話したことはないー。そんな風に私たちが勝手に自粛してしまっていた面もあるのかもしれません。「せんきょcampふくしま」の会議では、「投票するのは一人ひとりなのに、会社の言いなりになる組織票って嫌だよね」「個人の候補者はいい人でも、政党になるとなんでこんなにイケテナイんだろうって思う」などと率直な意見が飛び交いました。こうしたやりとりの中から全く新しい選挙へのかかわり方が生まれてくるのかもしれません。
「本当の参加型民主主義とは選挙のときだけでなく、普段から社会の変革に参加すること」とは田坂さん。もちろん、せんきょcampは衆院選後も継続していくそうです。
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