Politics
2010.12.18 宮原 桃子
Dan Jørgensen MEP voting:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Worst Lobby Awards
EUの意思決定の裏では、企業やNGO関係者が欧州議会や欧州委員会などの関係機関に対して、日々政治的働きかけ(ロビイング活動)を行っています。
2005年に始まった欧州ワースト・ロビイング大賞は、社会や環境を顧みずに企業利益を優先したロビイング活動を活発に行った企業に与えられます。欧州の環境保護団体や企業ロビイング監視団体などが集まって候補企業を選定し、オンラインで投票を実施します。
2010年は、「気候変動部門」と「金融部門」で投票が行われ、約1万人が投票に参加。12月2日、ベルギー・ブリュッセルで結果が発表されました。
気候変動部門ではドイツのエネルギー大手RWEの子会社npowerが受賞。同社は環境保護に積極的なアピールをする一方、英国などでの石炭・石油プラントの稼働延長を認めさせるべく、規制法案の緩和を求める積極的なロビイング活動したとして大賞が贈られました。
金融部門では、国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)及びその主要メンバーであるゴールドマンサックスが受賞。08年の金融危機後、業界に対する規制が活発化した際、自分たちの利権を脅かす金融改革を阻止しようと、積極的にロビイング活動を行ったことが受賞理由でした。
授賞式は、カラフルな清掃人に扮(ふん)したスタッフが、ロビイストを掃除するパフォーマンスが行われるなど、ゲリラ的なお祭り騒ぎ。受賞企業の一つRWEのブリュッセル支社長が授賞式に参加し、盛り上がりを見せました。
ビジネスと社会・環境との両立は、今日最も重要なテーマ。あらゆる企業がCSRをアピールしていますが、こうした賞は水面下で行われるロビイング活動を監視することで、企業がどこまで本気で社会に貢献しようとしているのかを人々に見極めるよう訴えかけています。
関連するURL/媒体
http://www.worstlobby.eu/2010/winners-worst-eu-lobbying-awards-2010-revealed