Politics
2011.01.31 宮原 桃子
ブラジルでフェアトレードを推進する法律が1月、施行されました。フェアトレード・連帯貿易制度(SCJS)(※)を定め、これを推進する国家管理委員会を設置。フェアトレード基準や認証制度の整備、フェアな賃金や労働水準などの普及を進めます。ブラジルでは、現地NGOが共同でフェアトレード推進プラットフォームを作り、2002年以降、政府や社会に積極的に働きかけており、今回の法律施行は大きな一歩と言えます。
ブラジルは、世界最大のコーヒー産地であり、フェアトレード・コーヒーも多く生産されています。しかし一方で、例えば14歳未満の児童労働は220万人も存在するとされ、その6割がコーヒー農園をはじめとする農業に従事しています。この法律により、ブラジルの様々な産業で、フェアトレードが普及することが期待されます。
ただ、法律を無視して不当な労働条件や児童労働を強いる企業が多くあるなか、今回の法律制定だけでは手放しに喜ぶことはできません。ブラジル政府が、今後どの程度具体的に企業の監視やフェアトレード基準を守らせるための対策を実行するかが鍵です。
また、政府がフェアトレードを推進する法律を制定した例は世界初で、すでに政策にはフェアトレードを組み込んでいるEU議会(法律化には至っていない)をはじめ、他国でも同様の動きが出てくるかもしれません。日本でも、2009年3月に発足した政府の「社会的責任に関する円卓会議」が昨年12月に発表した行動計画の素案(PDF)には、政府や産業界、NPOによるフェアトレード普及やフェアトレード・タウンの推進、政策での採用などが、関係者の要望として出されています。日本政府も、今後具体的に動き出してほしいところです。
※連帯貿易:連帯経済をベースにした貿易。
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