Politics
2012.02.06 瀬戸 義章
フィリピンのアロマゴミ処理場。多くの人々が、空き缶やペットボトルを探している photo by yoshiaki seto
1月30日から31日にかけて、東京の京王プラザホテルで「The 4th 3R Conference for Asian Local Governments(第4回アジア3R自治体間ネットワーク会合)」が開催されました。日本とアジア諸国の自治体担当者が集まり、ゴミのリデュース(削減)・リユース(再利用)・リサイクル(再資源化)について話しあう会議です。海外からの参加自治体は、クアラルンプール(マレーシア)、バンコク(タイ)、瀋陽(中国)、ハノイ(ベトナム)、パダン(インドネシア)、デリー(インド)の6都市です。日本からは東京、横浜、川崎、北九州、仙台の5都市が参加しました。
アジアはどの国も、急激な人口増加にともなうゴミ問題に頭を悩ませています。排出されるゴミの内訳を聞いたところ、国・地域によってもちろん差はありますが、50%が「生ゴミ」、30%が「プラスチック」、10%が「紙」のようです。鉄くずやガラス、古着などが残りの10%にふくまれます。この食品ゴミ、生ゴミの多さは、衛生状態の悪化に繋がります。残飯が腐り、ハエや蚊が大量発生して、感染症が発生するからです。ゴミ捨て場の近くに住む貧困層ほど、この被害を受けます。ゴミの削減をするために、各国は3Rの推進をしているのですが、分別どころかポイ捨てもなかなか減りません。
会議のなかでは、横浜市の取り組みに注目が集まりました。横浜市は2003年からゴミ減量の「横浜G30プラン」をはじめ、5年間で排出量を43%削減した実績を持ちます。横浜市は、魔法のようにすごい仕組みを作り上げたわけではありません。分別収集を拡大し、リサイクルを徹底していったのです。家庭に対しては、「燃やすゴミ」だった古紙やプラスチック製容器包装、古布などの分別を増やし、それがきちんと実行されるように、説明会を繰り返しました。それも、100回や200回ではありません。2004年度と2005年度にかけて実施された説明会の数は、1万1000回にもおよびます。それも、ゴミ回収の担当者が直接出向いて、分別の意義を伝えていったのです。
日本のゴミ問題がすべて解決しているわけではありませんが、かつて公害やゴミ戦争など、さまざまな問題に悩まされたからこそ、先進的な仕組みがいくつも生まれました。日本が「先輩」として、こうした経験を伝えていくことの重要性が再確認された会議でした。
関連するURL/媒体
http://www.jesc.or.jp/environmentS/3r_conference/05.html