Science
2011.08.05 関 和音
Take Your Child to Work Day:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Lady Ozma
「遊んでばかりいないで、勉強しなさい!」
誰もが一度は、このように親に叱られたことがあるのではないでしょうか。行ったことの無い場所に出かけてみたり、遊んだことの無いゲームにチャレンジしてみたり。子どもは勉強よりも、遊びを好むものです。子どもの驚くほど旺盛な好奇心は、一体どこから生まれてくるのでしょう。
就学前の子どもたちが遊びの中でみせる自発性について調べたアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大)とスタンフォード大学の最新の研究(PDF)によると、子どもたちは「科学者が研究するようにして」遊ぶそうです。
両大学の研究チームは実験にあたり、まず特定のビーズを配置すると音楽を再生する箱型のおもちゃと4つのビーズを用意しました。4歳から5歳の2グループ計60人の子どもたちを集め、片方のグループは、どのビーズでもおもちゃが動くという条件が「明白な」状態。もう片方のグループは、うち2つのビーズを配置するとおもちゃが動くという条件が「あいまいな」状態にしました。それらを事前に伝えた上で両グループの子どもたちの遊ぶ様子を比較したところ、「あいまいな」状態に置かれた子どもたちの方が積極的に実験に取り組んだそうです。
また、ビーズをペアにし、一方はくっついたまま、もう一方は取り外せるようにし、取り外し方を教えた上で遊ばせたところ、やはりあいまいな状況に置かれた子どもの方が、どのビーズがおもちゃを鳴らすのかを積極的に調べる傾向があったそうです。さらに、くっついたペアのみを与えた実験でも、あいまいな状況の子どもはビーズをおもちゃに対して水平でなく、垂直に置いてみるなど工夫を凝らしていたとのこと。
研究チームの学者たちは今回の実験を「子どもの遊びと科学者の研究の間のギャップを埋めるもの」と位置付けています。確かにまだ知らないものを知ろうとする「好奇心」は、子どもたちと科学者の間に共通するものかもしれません。
明白なものではなく、あいまいなものにこそ挑む姿勢。それこそが、私たちが失ってはいけないものかもしれないですね。
関連するURL/媒体
http://www.wired.co.uk/news/archive/2011-07/27/children-as-scientists