Technology
2014.07.13 瀬戸 義章
キム世銀総裁(写真中央)に、開発した貧困層用義足を説明する遠藤謙氏
7月10日、東京都港区の政策研究大学院大学(GRIPS)て、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁と日本の若手イノベーターによるトークイベント「世銀総裁と語る:開発にイノベーションが果たせる役割とは?」が行われました。ここでいう「イノベーション」とは、貧困をはじめとした世界中の課題を解決するための、優れた実践のことです。
ゲストとして呼ばれた日本人は次の5人。いずれも、国境を越えて活躍している若手です。
・ 鮫島弘子さん:貧困国であるエチオピアで、シープスキンを使ったバッグや小物の生産を行うラグジュアリーブランド「andu amet」代表。
・ 税所篤快さん:貧困地域の子ども向けにDVDを使って高度な教育を届ける「e-Educationプロジェクト」を立ち上げ、現在、世界8地域で活動中。
・ 遠藤謙さん:ロボット技術を応用した高度な義足と、貧困層向けの安価な義足の両方を開発しているエンジニア。
・ 福野泰介さん:子ども向けのプログラミング教育と、Webのオープンデータ化を推進する「jig.jp」代表
・ 濱川知宏さん:テクノロジーを最貧地域に届けるオンラインマーケット「Kopernik」のプロジェクトマネージャー。
今回のトークイベントは「世界銀行ライブ」としてUstreamで配信され、世界中どこからでも参加することができました。ネパールから寄せられたのは「途上国での活動は困難だと思うが、活動を継続するモチベーションは何か?」という質問です。
これに対し、義足エンジニアの遠藤謙さんは「変な言い方かもしれませんが、僕は足の無い人と出会うと、ワクワクするんです。義足を提供して、その人の暮らしが見違えることが楽しいからですね」と、andu ametの鮫島さんは「元ストリートチルドレンで問題のあった子が『ぼくはエチオピアで一番の職人だから』と誇りを持って働いてくれるようになりました。こんなことがひとつ起きれば、100の辛いことがあっても続けられます」と答えました。
キム総裁はまとめとして、「いずれも深い衝動に基づいて生まれた、素晴らしく人のためになる活動です。世銀としては、世界の問題解決のために、こうしたイノベーションを、あるいはイノベーションの種を世界中で見つけて、活かしていきたいと考えています。会場にいらっしゃる方も含めて、皆さんは我々が良く行動できるように、ぜひ世銀にプレッシャーを与え続けてください」と話しました。
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