Think the Earth

世界的に先端医療や医療費節約を目的とした海外渡航者が増えています。そのような流れを受け、7月26日に観光庁で「医療ツーリズム」に関する研究会が開かれました。日本の医療技術には、中国や韓国などアジア諸国から注目が集まっており、政府も「医療ビザ」の発給を検討するなど普及に向けた動きが進んでいます。

医療ツーリズムとは、医療を受ける目的で他国に渡航すること。旅行業者による中国人富裕層を対象とする検診ツアーが順調に業績を伸ばし、専門学校による医療通訳の養成講座などの取り組みも広まっています。

一方で、医療ツーリズムに対する懸念の声も上がっています。メリルリンチ証券は7月26日に発表した「農業・食品・ヘルスケア産業」に関するリポートの中で、日本医師会などの反発から、具体策に至るにはかなりの時間を要するだろうと指摘しています。

日本医師会の反対理由は、患者間の格差への懸念です。診療報酬の点数よりも高い金額を支払う外国人富裕層に対し、保険診療の日本人患者は診察が後回しになる可能性があります。また医療費を全額自己負担してでも優先的に診察を受けたいという日本人患者が現れて、自己負担が出来ない他の患者との間に格差が生じる恐れがあります。普及に際してはこれらの問題をどのように解消していくのかがポイントとなりそうです。

「観光立国」を目指す日本。日本の医療の強みを生かした取り組みに今後も期待していきたいと思います。