Water
2013.07.19 橋本 淳司
8月1日は「水の日」。そこから1週間は「水の週間」でもあります。そこで子どもたちといっしょに読める水の本を紹介します。かわいらしいイラスト、わかりやすい図解、はっとさせられる写真で、感覚的に水の世界に入っていけるものを選んでみました。
『ひとしずくの水』(ウォルター・ウイック写真と文 林田康一訳 あすなろ書房)
時間の止まった世界で水を観察すると、こんなにたくさんの驚き、ワクワクがあったのかと感動してしまいました。肉眼では見えない一瞬をとらえた写真の数々。コップにおちる瞬間の水滴のかたち、ふくらんだシャボン玉が割れない不思議、落ちるはずの水がガラスの管をのぼっていくなぜ、まるでデザインされたかのような雪の結晶。万の言葉より1枚の写真が知的好奇心を呼び覚ましてくれるのですね。
『ピチャン、ボチャン、ザブーン! 水ってふしぎ! 』(マイク・マニング/ブライタ・グランストローム著、せなあいこ翻訳 評論社)
水の音。あなたはどんな音をイメージしますか? せせらぎは「サラサラ」と流れ、波は「ザバーン」「ザブーン」と打ち寄せます。毎日「ゴクゴク」と水を飲み、「バシャバシャ」「ピチャピチャ」と水に入ります。この本は、すべてのページが「ピチャン」「ボチャン」「ザブーン」ではじまり、水の旅へとつながっていきます。海から雲になり、雲から雨になり、雨から川になり、やがて海に戻ってくるという水の循環が、わかりやすく描かれています。
『川』(前川かずお こぐま社)
この本に文字はありません。でも、絵がすごいのです。湧き水から生まれた川が、海に注ぐまでの物語が、全長2.3メートルの「絵巻」に丹念に描かれています。この本を見ると、日本の四季、私たちの人間の営みが、川の流れともにあることを実感します。雪におおわれた岩山を登る人々、船から桜を愛でる人たち、夏には川から田んぼへ水を引く人たち、台風からまちを守る人たち。人の暮らしと川との関わりが、ユーモラスかつ仔細に描かれ、繰り返し広げるたびに、新しい発見ができる本です。
『水おとこのいるところ』(イーヴォ・ロザーティ著 ガブリエル・パチェコ絵 田中桂子翻訳 岩崎書店)
水道の蛇口の滴(したた)りからうまれた、水おとこ。彼がいると、あちこちが、びしょ濡れになってしまうので、家の人からも町の人たちからも疎まれてしまいます。そんな水おとこが心安らげる場所を求めてさまよいます。青を基調にした水おとこが、モノトーン調の街をさすらう絵が美しく、ストーリーはさまざまな水問題をイメージさせますが、それを理屈ではなく、やさしく心に投げ掛けてくれます。
『湿地の大研究 役割から保全の取り組みまで』(遊麿正秀 PHP研究所)
人類の営みは「川の近く」ではじまったと言われますが、より正確に言えば、川の近くの湿地帯で暮らしていました。湿地は「生命のゆりかご」と呼ばれます。たくさんの生き物が暮らし、豊富な水に支えられて植物が茂る環境は、人間にとっては食料調達だけでなく、寝床としても隠れ家としてもこのうえないものでした。都市化したまちに住む私たちは、湿地がいまどうなっているのか、あまり知りません。でも、湿地は私たちにとってとても大切なものです。この本では、湿地の現状や、湿地を守るためにどうしたらよいのかをわかりやすく教えてくれます。
関連するURL/媒体
https://www.mlit.go.jp/report/press/water01_hh_000069.html