Water
2013.08.28 橋本 淳司
洪水被害を受ける地域がある一方で、雨が降らず水不足になる地域もあります。今後のお天気次第ですが、9月以降、取水制限が実施されるところもあるかもしれません。そうなるとメディアなどから「節水しよう」という声が聞こえてきます。
ところで、あなたは、自分の水の使い方について考えたことがありますか?
多くの人はないでしょう。無意識のうちにいまの水の使い方、いってみれば「水の習慣」が身についているはずです。日本人が1人1日に使う水の量は、平均300リットルと言われています。2リットルのペットボトルで150本の水を、無意識のうちにつかっているのです。
そんないつのまにか身についた「水の習慣」を見直すFacebookアプリが誕生しました。米環境団体グローバル・グリーンUSAの協力で米エレクトロラックスが提供する「YourWaterMark」です。
アプリにアクセスすると画面には、次のような質問が出てきます。
あなたは、1度にどのくらいの時間、シャワーを浴びますか?
・5分以下 ・10分 ・15分 ・20分以上
歯磨きをしているあいだ、蛇口は開け放しですか?
・はい ・いいえ
食器を洗うときは手洗いですか、食器洗浄器をつかいますか?
・手洗い ・食器洗浄器 ・両方
などなど。水道の蛇口からは1分間に12リットル(ペットボトル6本分!)の水が出るため、歯磨きしているあいだ蛇口を開け放しにする「水習慣」をもっていたら、とてもたくさんの水を無駄にしてしまいます。それはシャワーでも同じで、髪を洗うときや体を洗うときに、シャワーを止めているのか、出し放しにしているのかでは大きな差が出てきます。
さらにはこんな質問もあります。
1週間に何回くらい以下のものを食べますか?
・牛肉 ・鶏肉 ・豚肉 ・パスタ
なぜこれが「水の習慣」と関係しているのかというと、食べものをつくるにはとてもたくさんの水を使うからです。たとえば家畜を育てる場合、家畜が飲む水のほか、飼料を育てる水も使います。鶏肉300グラムの生産には1350リットルの水が必要であり、同じ量の豚肉には1770リットル、牛肉は6180リットルが必要です。ですから、どういうものを好んで食べるかという「食の習慣」は「水の習慣」と密接に関係しています。
こうして診断テストを終えるとあなたの「水の習慣」が10段階で評価されます(ちなみに僕は2でした)。さらに「水の習慣」を改善するための個別のアドバイスももらい、たとえば、蛇口をきちんとしめることを約束したり、牛肉を食べる量を少し減らして鶏肉を食べることを約束したりします。
こうしてあなたの「水の習慣」を改善していくことができます。
いまのように、いつのまにかたくさんの水を使い、たくさんの汚水を流すのは最近の生活習慣です。たくさんの水を使うことが前提となっているので、大規模な浄水場が必要ですし、巨大なダムが必要になります。大量に水を使うから、汚れた水を大量に出し、それを処理するための下水処理場の規模も大きくなります。
でも少ない水でも豊かな暮らしができるなら、それで十分ですし、ほかにもいろいろとよいことがありそうです。
まず河川や湖沼、地下水からの取水量を減らすことができます。ダムの数や規模も減らすことができるでしょう。使う量を減らせば、当然ながら下水処理する水の量も減らせます。
さらには上下水道にかかるエネルギー量を減らすことができます。「水の習慣」を変えることはエネルギーの使い方を変えることでもあるわけです。
節水というと、目の前の水を大切に使うというイメージが大きいですが、それだけにとどまらず、社会を持続可能にしていくことであり、自然を守ることでもあるのですね。
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