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ぐるぐる循環する雨つぶの旅をすごろくで体験!

2014.09.03 岩井 光子

一方通行では終わらない雨つぶの旅が楽しめる「雨つぶぐるぐるすごろく」

東京では1年で最も雨の多い月と言われる9月。雨水は汚れていると思われがちですが、もともとは自然の蒸留水。汚れは大気中のほこりやちり、排気ガスであったり、屋根や雨樋の汚れであったり、実はほとんどが私たちの生活の中から発生したものだそうです。降ってきた雨を集めた雨水タンクの水をガラスのコップに入れ、水道水を入れたコップと並べた写真を見たときは、どちらが雨水か全くわからず、その透き通った美しさにとても驚きました。

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どちらが雨水か、わかりますか?


雨水活動における実践と研究、そして、子どもや市民への啓発活動を続けてきたNPO法人「雨水市民の会」(事務局・墨田区)理事の笹川みちるさんによれば、人々は昔から雨水を上手に暮らしに活用してきたと言います。江戸時代の学者、貝原益軒が書いた「養生訓」という書物には「薬やお茶を煎じるときは、清く、甘い水が良い。容器などを庭などにおいて、雨水を直接取って用いるのも味が良い」と記されているそうです。また、火事が多かった江戸のまちでは所々に「天水桶」を備えて地域の防火対策に活かしていました。この桶は今でも墨田区では通り沿いで見かけるそうです。このように、雨水利用が昔から根づいている同区では、現在大きな行政課題となっている都市型洪水対策と結びつけて雨水活用に力を入れています。区独自の雨水タンク設置助成制度は区民の雨水活用を大きく促し、これまでの設置件数は500件を超えています。まさに、雨水は「流せば洪水、ためれば資源」なのです。

私たちの生活にとても身近で、そして生命に欠かせない水。雨水は壮大な水循環のはじめの一滴です。雨は森や海、川、まち、畑から人間の体の中まで、さまざまな場所を旅してはまた海に流れ込んで蒸発し、雲になり、雨になり、絶えずぐるぐる循環して地球の生命を支えています。雨水市民の会では、こうした水循環の大切さを遊びながら実感できる教材として「雨つぶぐるぐるすごろく」を開発。先月から一般発売を始めました。

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このすごろくのユニークなところは、スタートからゴールまでが一方通行でないところ。雨つぶはあるときは森や田んぼ、あるときは道路やビルの屋根の屋上に落ちるので当然すごろくの行き先もいろいろです。また、雨水の活用、地下水のかん養、水力発電、処理水の再利用といった具合に水をうまく活かせれば、ボーナスポイントがたまるようになっていて、コミュニケーションをとりながら水循環への理解を深めることができます。

すごろくはA1サイズ。雨水市民の会のサイトから購入することができます。1セット1200円でゲーム内の用語を解説したガイドブックもついています。世界の水事情のお話や水にまつわるミニ実験も加えた出張ワークショップも同会では受け付けているそうです。

※9月17日開催の「めぐる水〜雨つぶすごろくで学ぶ『水循環基本法』」の申し込みはこちらから。



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岩井 光子