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Water

ノロウイルス対策から節水の工夫まで
災害時の強い味方「もしも!水ノート」

2016.05.02 岩井 光子

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by philografy

全国有数の地下水源を誇り、水道水の8割方を地下水でまかなっていた熊本県。「水の国」とも言われる同県は4月中旬、二度の激震で大きな被害を受けました。地下水脈の変化で水源が枯渇してしまったり、配管の破損による漏水が続いたり、また、復旧した水道水にも濁りが生じるなど、被災地では未だに多くの人が毎日の水の工面に苦労しています。

Ukishima shrine: Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by JoshBerglund19

普段あまり考える機会はないかもしれませんが、人は水がなくては生きていけません。人間のからだは半分を超える60%が水でできています。体重の2%に当たる水分を失うだけで体調を壊し、20%を失えば命を落とすと言われています。体調を維持する水分(1日の排出量と同じ2.3リットルほど)に加え、手を洗ったり、トイレに行ったり、お風呂に入ったり、健康に生活するためにも水は欠かせません。平常時に必要な生活用水は1日当たり1人約250リットルだそうですが、大災害などで水の供給が滞った場合は、より少ない水量で生活する必要性に迫られます。熊本では、水分摂取を抑えがちな女性にエコノミー症候群(肺塞栓症)の症状が多くみられました。

水ジャーナリストの橋本淳司さんは地震から1週間後の23日、万一の水不足に直面した時に役立つ15の術をまとめた「もしも!水ノート」を製作しました。ちょっとした工夫や意識で誰もが実践できる節水方法や、感染症などを防ぐために留意すべき点が写真やイラストと共に具体的に紹介されています。

例えば、ペットボトルと粒状活性炭(なければ、たき火の燃えかすや小石、ハンカチなどで代用可だそう)があればできる簡易浄水器、ノロウイルス対策にもなる家庭用塩素漂白剤を使った簡易消毒液の作り方などは、緊急時に覚えていると心強い知恵ではないでしょうか。また、ポリタンクに水を入れる時の注意点と保存方法、雨水をためる際のコツ、汲(く)んで良い湧き水の見極め方なども参考になりそうです。東日本大震災で実際に行われていたバケツ一杯のお湯で全身を洗う方法、3つのバケツの水を使い分けて食器を洗う方法など、少ない水を無駄なく使う工夫も具体的に説明されています。被災地の避難所では「寒い」「お風呂に入りたい」などの声が特に多かったと聞きましたが、ペットボトルの表面に黒いテープなどを巻いて日なたに置いてお湯を作り、湯たんぽや洗髪に活用する方法などは、広くシェアしたいアイデアだと思いました。

橋本さんは、この「もしも!水ノート」を都内や埼玉県で行ったチャリティー講演会や熊本県内の避難所などで無料配布したそうです。災害時の対処法などをまとめて都が発行した「東京防災」も電子書籍化され、無料でダウンロードできるようになっていますが、この水ノートもシェアOKとのこと。自然災害の重なる日本では、これからもいつどんなタイミングで激震が発生するかわかりません。生活用水に不自由した経験がなければ、水不足が命に直結するという危機感は薄いでしょう。今後こうしたウォーターリテラシーの重要性はますます高まっていくのではないでしょうか。



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熊本、日本 (日本

岩井 光子