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技術革新が進む海水淡水化、中国の水不足解消の切り札へ

2011.04.19 橋本 淳司

Tianjin April 07-12:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by kilroy238

2011年3月に開幕した全国人民代表者会議において、海水を特殊な膜フィルターを通して「淡水」と「そのほかの物質」に分離する「海水淡水化基地の整備を急ぐべき」という文書が、政治協商会議より党中央・国務院へ提出されました。芦昌華・全国政治協商会議副秘書長は、「北方地域における淡水資源不足は国家の安全を脅かすレベルに達し、海水淡水化の普及が急務」と指摘しています。

ここ数年、比較的水が豊富とされていた長江流域でも渇水が発生し、一部の支流では断流も起きています。このままでは、長江の水を北方へと運ぶ「南水北調」計画が完了しても、十分な水量を満たせない可能性が高まってきました。

そこで注目されてきたのが海水淡水化です。すでに中東では、豊富なオイルマネーによって海水淡水化技術が導入され、真水を確保しています。たとえば、アラブ首長国連邦の淡水生産能力は1日82.2万トンに達し、生活・工業用水の98%をまかなっています。

中国では天津市が海水淡水化利用モデル都市に指定されています。その理由は、海水淡水化分野の最高権威である「国家海洋局淡水化・総合利用研究所」がある、強固な工業基盤をもつ、濱海新区にハイテク産業群が集中している、の3点です。

海水淡水化技術は発展途上の技術であり、コスト・エネルギー消費量が高い、淡水化の過程で発生する塩分の高い残留物(海洋生態系を破壊)の処理方法が確立されていない、という2つの課題があります。天津市は後者の解決に一歩を踏み出しました。ここ数年で「火力発電-海水淡水化-高濃度塩水による製塩-海水に含まれる鉱物資源の抽出」といった産業チェーンを構築し、渤海の水環境に負荷を与えることなく、化学工業の原料を創出できるようになっています。



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このニュースの地域

天津、中国 (アジア/オセアニア

橋本 淳司