Water
2012.02.19 アマサワエンジィ
Grand Canyon National Park: Water Bottle Filling Station 1671:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Grand Canyon NPS
米グランドキャニオン国立公園では、推定でごみの20%、再生可能ごみの30%はボトル水のペットボトルが占めているといわれています。 これらが園内に散乱し景観を損なうと2月6日、米内務省の国立公園局は、同日以降30日以内に同園内でのボトル水販売を全面的に禁止すると発表しました。
同園は観光客のマイボトル持参を促進させるために、29万ドル(約2300万円)を投じて10数カ所の給水所を設けましたが、園内の売店で販売禁止となるのはボトル水のみで、他の清涼飲料水の販売は今までどおり続くとのこと。 観光客は外からボトル水を持ち込むこともできます。
ボトル水販売禁止の動きは同園が初めてではなく、ユタ州ザイオン国立公園やハワイ火山国立公園の禁止令に順ずるもの。ザイオン国立公園では禁止令を出した2008年に約6万本ものペットボトルゴミの削減に成功したそうです。
実は、グランドキャニオン国立公園でのボトル水の販売禁止案は2010年の終わりに承認され、当初2011年から導入される予定でした。2010年12月、ニューヨークタイムズ紙のインタビューに応じた前同園管理責任者のスティーブン・P・マーティンは、(禁止の動きを聞いて)「園内でボトル水製品を販売し、園に1300万ドル(約10億円)以上の寄付をしてきたコカ・コーラ社が不満の意を示した」ことを明かしています。しかし、同社の圧力で禁止令発足が遅れたとの指摘は、同社も公園側も否定しています。
今回のボトル水販売禁止を受けてコカ・コーラ社の広報担当者は、「ゴミの元となる製品を禁止するのは問題の解決とは言えない。その上、禁止措置は人々の何を飲むか、食べるかを『選ぶ権利』を奪っている」とし、単に禁止するのではなく、リサイクル強化計画に力を入れるべきだと主張しています。
このように消費者の「選ぶ権利」を掲げるコカコーラ社ですが、今回の禁止令賛同者は、「園内に無料の給水所が設置される上、清涼飲料水の販売も継続されるのだから消費者の権利は脅かされない」と反論しています。
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